えぬ

バッド・アンド・クレイジーのえぬのレビュー・感想・評価

バッド・アンド・クレイジー(2021年製作のドラマ)
3.5
全12話だけど、前半でひとつの話が一段落し、後半はまた別の話が展開していく作り。前半は途中で飽きてしまったが、後半はまた別方向な流れにいくので最後まで止まることなく見られた感じ。

ただ、一番面白かったのは、序盤に謎の男Kが主人公を困らせて大いに振り回しまくって、その正体が判明するところまで、だったかも?その後は勢いも面白さも落ちてしまい、麻薬組織とその関連を追う前半の話はよくあるような話で大したことない内容だし「そんなお粗末なことを警察がやるか?」というような油断やミスのせいで犯人に反撃・逃亡されて…これ無駄に引き延ばしてない?みたいな流れが繰り返されてしまってちょっとゲンナリ気味。また登場人物が覚え切れず、公式サイトの相関図でもまだまだ人物が足りず、何度となく「それ、誰のことだっけ???」状態に。なので、この後まだ半分もあるのか…と最後まで見られるか不安に駆られたところで、一転(?)主人公の過去の話とのつながりがメインになっていく。

また後半の話もわりとありがちな主人公の幼少のトラウマとかその過去にはサイコ野郎が絡んでいて…という割には大したことない話で、やはり勢いのある序盤4話ほどは面白くなかった(誰がそのヤバいやつかが、出てきてそんなに経ってない時点でも、どうみてもこいつしかいないだろうとわかってしまう感じだし)。もうちょっとコアとなるストーリーが斬新だったり面白ければ…バディの魅力ばかりに頼りすぎたかも?という気が。

残念なのが、韓ドラの警察ものによくあるプロトコル無視ぶりとか「それおかしいでしょ…」という描写やシーンがかなり多かったこと。突拍子のないところのあるストーリーではあるけど、だからこそ、抑えるところは抑えといて、変なツッコミどころはないようにしないと、無駄にとっ散らかっちゃう(もっといえばくだらないという)印象も出るので。

みんな一人だけで無謀に行動しすぎ(で、まんまと敵にやられるパターン)。ここまでやったら暴行なのでは?というぐらい犯人や敵を無駄に殴りすぎかつ自分たちも怪我も負いすぎ、顔が血だらけでエグい(この似たような雰囲気、どっかで見たような?)。素手で現場や証拠にベタベタ触れたり、土足で平気で歩き回る。警察だからと言って不法侵入を繰り返すのはまずいし、更にはそこで盗んできた“証拠”の裁判での証拠能力って…?(別の理由で使えないという話にはなってたが)既に公務中の自分に対してナイフで刺しちゃった上に今後犯罪を起こす意図が明確な人を、確保可能なのにちゃんと確保せずに別のことをしている・別のことに気に取られてる間に逃がしちゃった(で、しっかり問題を起こされてしまう)。被疑者に対しみんなで親しい間柄な呼び方をするとか、警察の側の人間がやること???ドヤって無駄な“おしゃべり”して逃げられたor反撃された…で解決が遠のく。他にもいろいろあったけど、結果オーライなんだからいいでしょ?で済ませるには、さすがにちょっといい加減すぎだし、目に余ると思いました。

それでも途中で視聴をやめることなく見続けられたのは、キャストのおかげ。こういうトンデモ役の超ぶっ飛んだウィハジュンは、見る前からわかってたけど、最高すぎる。恐ろしいまでにイキイキしていて、破天荒なパワフルさに目が釘付けだった。イドンウクも頑張ったのだろうけど、ウィハジュンの演技力のあまりのすごさと輝かんばかりな強烈な魅力にはさすがに敵わなかった。正直なところ、ウィハジュンが主役の方が楽しそう…とすら思ってしまった。口が大きいと笑顔が派手で華やかで、ただ者でなくすら見えるところはジュリアロバーツに似てるかもと思いました。

主役二人だけでなく、脇役もガッチリベテラン&実力派揃いで良かったが、そんな中でもエンも引けを取らない演技だったかと。イチ脇役ではあるものの、なかなか大事な役どころだったけど、今の実力に見合った範囲で(これ大事ですね)十分こなしていたと思います。普通の青年っぽいのに、華と存在感があるせいか、つい目が行く感じで今後も期待。ヒロインという位置づけまでではないが、元カノなマトリ刑事役ハンジウンもキレキレですごく良かった。主人公の兄役は哲仁王后でオジョンセに似てる(?)王の友人役だった俳優さんかな。今回も楽しい兄役が上手だった。母親役の女優さんもこれぞ韓国のオモニといわんばかりな情の深さ(というか魂の熱さ)の表現が素晴らしくて心打たれる。ヨン社長のロシアっぽい真顔でさらっと怖いところとか(鉄のカーテン感スゴい)、相棒っぽい刑事さんやどこか飄々とした何故か憎めない闇精神科医、個性的な弁護士さん(この人の面白いエピソードがもっとあって欲しかった、というかあると思っていた)などなど楽しいキャラがいっぱいでそれもアクの強い演技派揃いで見ごたえがあった。ほんの脇役というような役者さんまで演技上手でない人はいなかったような?
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