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舞妓さんちのまかないさんのkamakurahのレビュー・感想・評価

舞妓さんちのまかないさん(2022年製作のドラマ)
4.0
是枝裕和監督のお家芸である擬似家族の主題を、伝統の規範、京都祇園で紡がれ続ける芸妓・舞妓の置屋での一年を通して描いた佳品。原作漫画は未読で、それとの距離感には言及できないが、本作の中心となるのは青森からやってきた年若いふたりの時間である。森七菜と出口夏希が等身大で扮して愛らしい。このふたりに置屋の女将の実子で高校生役の蒔田彩珠がいい塩梅で絡み、説得力ある彩りとなっている。全篇を通しての美しい抒情と丁寧な演出は、是枝監督の傑作『海街diary』を思わせる仕上がりで、それぞれ1時間ほどの九つのエピソードを飽きさず観せる手腕はさすが。長年の同朋、砂田麻美や津野愛、奥山大史、佐藤快磨を脚本、演出に加えて、物語に重ねるように後継育成のスタンスを加味し、企画に川村元気を据えて、日本映画の将来をも展望している建て付けの印象である。
若い3人を支える共演陣も豪華で、先輩芸妓である橋本愛と松岡茉優とによる静と動は、特筆すべき鮮やかさ。昨年の大河ドラマに寄せたオマケの薬味も効いて新春のお年玉作品として大いに楽しめる是枝裕和監督とNetflix初タッグである。
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