幻想の祇園。
大絶賛されていたので観てみたのだけど、たしかに映像の質感は日本トップレベルかもしれない。
これだけの高精細な映像を使ってもっと京都を、日本を撮れたなら、本当に素敵だと思う。
しかし。
あまりにも物語がファンタジーすぎてどうにも乗れない。
私自身は別に花街の問題は結局よくわからないし、文化は文化なのかもしれない、とは思う。
ただ、是枝裕和さんは社会問題をあぶり出したり、家族のあり方を問うたりするようなクリエイターではなかったのか?
伝統的価値観を無批判に肯定し、生臭いところをすべて切り落とすような作品を手掛けて、心が痛まないのだろうか?
女の子たちのキャッキャウフフが作りたいのなら、無理に社会派を気取らなくても良いのでは。
今後、再び社会に切り込むような映画を手がけたとしても、かつてのような説得力を感じられない気がする。
たぶん、別の監督が手がけていたら、私はこんなに悶々としていないと思う。
これも期待のあらわれということで…。