2024年はコンテンツがとても充実していて「面白すぎる」映画やドラマばかり観ているので、ふと「何も起きなそうな」このドラマに食指が動いた。
ちょうど1年くらい前に配信された（ことは知ってたけど、なんとなくそのときはパスしてた）是枝裕和総監修のNetflixシリーズ。
当然ドラマだから「何も起きない」訳じゃないけど、青森出身の女の子2人が舞妓を目指して京都の置屋に修行に入り、その周辺にいる人々の日常を描くという、所謂日常系のドラマにどっぷりと浸って癒された…🤤
もう完全に、設定的には昔のNHKの朝ドラ的な女の子の成長物語なんだけど、昔の朝ドラと違って、ど貧乏な主人公が意地悪な先輩にいじめ抜かれながらも夢に向かって苦労する姿を描くとか、そんな主人公をイケメンが見初めて結婚し…、そこで関東大震災とか太平洋戦争の大空襲にあったり！みたいなことはいーっさいなく、どっちかっていうと「あまちゃん」。周りの人々がみんないい人。かつ、
森七菜演じる主人公のキヨは、ふわふわした存在で、早々に舞妓さんになる夢は絶たれるものの、代わりにまかないさんとしての道を歩む姿を丁寧に追うストーリー。もう1人の主人公すみれを出口夏希が演じており、彼女が（お師匠さん曰く）百年に1人の逸材として、仕込みさんから見習いさんになり、そして舞妓さんデビューする迄を9話を使って描いている。
で、もうとにかく終始画面の中がかわいくて悶絶させられる。屋形の中には、三名の舞妓の先輩たちがおり、みんな可愛い（その中の1人は福地桃子でもちろん可愛いのだが、名を知らない他の2人の若手の女優さんもおしなべて可愛い）、ちょっと抜けたところのある屋形のお母さん、梓を常盤貴子が演じているのだが、まあー可愛い。常盤貴子って、若い頃のツンとした役の印象しかなかったけど、こういうコメディ演技も上手い人だったんだなー、と見直した。松坂慶子演じる千代（先代のお母さん）も、可愛い。ここ数年のドラマや映画に出てくる松坂慶子の安心感ったらない！という感じだけど、ここでも間違いない松坂慶子力を見せている。千代と梓が切り盛りする「朔」というのがこのお茶屋で、そこには梓の実娘も（蒔田彩珠がとても達観した少女を演じている）一緒に暮らしている。朔から独り立ちした売れっ子芸妓の百子を橋本愛が、桃子の同期で、離婚して広島から出戻ってきた吉乃を松岡茉優がそれぞれ屋形を出入りしている。
…とまあ、役者を連ねて書くだけでなんとも華やかなんだけど、広くない屋形の中で多数の女子がわちゃわちゃと同時多発的に会話をするのだから、もうとにかく騒がしく、そんな彼女たちの日々の暮らしを眺めてるだけで癒されるのだ。朔は夜はバーを運営しており、そこに常連たちが集まってきて、舞妓さんもカウンターに座るっていう舞台設定も、なんとも朝ドラ的。
そういえば、橋本も松岡も、常連役の尾美としのりも、あまちゃんの出演者だし、そのほかの役者も、ほぼほぼなんらかの朝ドラに出てる人たちだ笑。
キヨが毎回作る、まかないご飯も美味しそう（飯島奈美監修）なんだけど、僕は出来上がったものよりも、京都の商店街をキヨが歩きながら食材を買い求める描写に惹かれた。
ときには、リアル店舗のリアル店主（昆布屋さんのお婆さんとか）が登場して、店頭でキヨと自然なやり取りをする。そこが、ドキュメンタリー畑の是枝監督一門の作品らしい
なあと感じた。
とにかく、置屋とかお茶屋の知識ゼロの僕は、令和の現代でも、このシステムの中で舞妓さんは修行してんの⁈と、ビックリしたととともに、その世界を興味深く垣間見られた気がした。→現実は夢みたいな世界じゃないんだろうけど、とても興味を持った。こんど、お茶屋さんで働いてた経験のある京都出身の友人に、詳しい話を聞いてみよう…。
全9話を通じて、季節が一巡し、最終話、二度目の春にすみれが舞妓「百はな」としてデビューするのだが、そこに至るまでの各話で、季節ごとに風物詩や食材を話にうまく取り入れたり、祇園の街のいろんな姿を切り取っており、京都もまた、主役のひとりなんだなーとも思った。
舞のことは何もわからないけど、プロポーズを断った百子が船上で舞う姿は美し過ぎて、ゾワゾワした。橋本愛の覇気がすごかった。
森七菜も出口夏希も実年齢は二十歳を超えてるのに、物語の初めはほんとに中学を卒業したての子供っぽい仕草や表情がリアルだったし、だからこそ、最終話での舞妓・百はなの成長した艶やかな美しさが際立っていた。
あー、これ、ほんとに一日15分ずつ、細切れで半年間、堪能したい世界だわ。
ずっと浸っていたい。シーズン2、来ないかなー。梓さんお母さんの再婚とか、吉乃が跡を継ぐ？話とか、百子と百はながライバル関係になっていく姿とか、まだまだ話は続けられそう…。楽しみに待ちます。
