全体的に追い込まれた老夫婦の話なので観ていてストレスを感じるシーンが多く、娯楽を楽しむ気分では観ることができないのだが、それでも引き込まれるほどの引きの強さはある。
現実と虚構、ファンタジーを混ぜて表現しているドラマなので、事件の真実の追求やどんでん返し等で盛り上げる話ではない。
老夫婦の狂気を孕んだ互いへの愛と魂の逃避行の物語である。
お互いにとって、たったひとりしか世界との接点がないが、そのひとりさえいれば良いという完結した人生。裏を返せばそれ以外は全てどうでもいい人生。
本作は厳しすぎる外の世界に背を向け、互いに共有するファンタジーの世界を生きる老夫婦の愛の物語だ。事件の真相や妻の両親の死など、この夫婦にとっては全て些末な問題なのだ。
それにしても夫役のデヴィッド・シューリス。ファーゴ シーズン3のあいつですよ。俳優って本当にすごいな。