手垢のついたゾンビものを正面から描き切った学園バイオレンス。
ホラーよりも強く感じるのは暴力である。
半島系は暴力に対する思い入れというか熱意というか執念めいたものを感じる印象がある。本作もホラーものを観ている気がしない勢いで暴力の応酬である。それが疾走感になっていて第１話で上手く発揮されている。窓ガラスを突き破り飛び出すゾンビ化した生徒をドローン撮影するなど壮観だった。
物語もキャラもしっかり作り込まれていて目新しさは感じなかったが飽きずに完走できた。
主人公たちの行動範囲を学園内に制限したのも成功していると感じる
…のだが、この状況だと全員「今すぐ家に帰りたい！」の大合唱だと思うけど誰もそれを言わないのはさすがに謎だった。
それと、お約束だが半島の作品は恨が強い。暴力＋恨である。やるせない悲しみ（しかも絶対解決できないやつ）と自己憐憫で押しまくる演出の数々はやはり過剰に感じる。
もう1点気になったのは、さっきまで同じ学校で過ごした顔見知りも多いはずの一般生徒のゾンビをゾンビ呼ばわりして完全に怪物扱いしていた点だ。仲間の輪の内と外にかなりの温度差を感じる。
知らないおじさんのゾンビならまだしも同じ制服を着た生徒には特異な感情があると思うのだが。
ただ、一般ゾンビ映画と違いゾンビ生徒を積極的に「頭をねらえ！」みたいに殺しにかかる描写もないのは製作者なりのバランス感覚か。
