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未成年裁判のkissenger800のレビュー・感想・評価

未成年裁判(2022年製作のドラマ)
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毎回ドラマを見た後「ドラマ見ない班なのに」って言い訳する自分の心証は実によろしくないんですけどシーズン2の途中で無事、挫折した『エージェント・オブ・シールド』(2013)レビューで良いこと書いてるひとがいると思ったらなんだ俺か、俺じゃないか。
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映画7~8本分のボリュームの時間を使ったからって「面白かった」が7~8倍になるわけじゃないので、酔狂としか言いようがないと思うんですよドラマという娯楽の形式自体
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1話1時間、10話。なので映画4~5本相当、まあそこについてはいつも通りの主張なのですが、相反する連想がふたつ、浮かびました。

ひとつ。東海道新幹線の各駅停車、こだまで車内販売の短期バイトをしたことがあって、新幹線に乗るのが大好きで今日もうれしくて。って初々しい若者に話しかけられたことがありましてね。
「長時間新幹線に乗れてしかも安いんですよこだま。お得じゃないですか。ね、なんでみんな乗らないんですかねー」
ドラマ班のひとのそういう気分、本作を見るとちょっと分かる気がする。

もうひとつ。「小説が書かれ読まれるのは、人生がただ一度であることへの抗議からだと思います」北村薫という作家のことば。
つまり10時間ではなく2時間に圧縮されることで、他人の人生を体感できる回数が5倍になるかもしれないのがエンターテイメントの魅力だとしたら、このスタッフ・キャストで映画版が出来たにときこそ、私は大々的に推したい。
うん、やっぱりこっちの気分のほうが強めだな。

殺人/DV/学歴社会/性犯罪、って韓国社会の現実*を「未成年が加害者にも被害者にもなり得る」切り口から描いた本作、なにより主演キム・ヘスの説得力が目を奪うのですが、『工作 黒金星と呼ばれた男』(2018)において中村敦夫にしか見えなかったことがいつまでも忘れられないイ・ソンミン、今作ほぼ加瀬亮なキム・ムヨル。彼らがTBS日曜夜に代表される本邦お得意紋切り型に行くのかな、行くのかな……行かないんかーい。って演技の匙加減が個人的な嗜好に合ってました。
物語そのものは「遠山の金さん」(古い)なり「金八先生」(古い)なりに近いところはあるけど、とりあえずゾンビ出しとくか、だけではない韓国ドラマ界の熱量が容易に感じられるやつ。

くどいようだがこのスタッフ、キャストで映画版つくってくれ。

*仁川小学生殺害事件( https://s.japanese.joins.com/JArticle/233748 )が1話2話の元ネタと思われ、以降のエピソードも似た感じの実話ある模様です
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