ゴッドファーザー制作お仕事ドラマ。マリオ・プーゾとコッポラがこんなに仲良く二人三脚で脚本書いてたなんて。マイケルが銃を捨てるのか捨てないのかサスペンスをコッポラが初期の段階で構想していたなんて。一つひとつの偶然が神がかり的に積み上がって映画史上の大傑作を完成させていく過程がたまらん過ぎる。当時のアル・パチーノは舞台では知られた俳優だけど映画となると自身がなくていつもオドオドしているのも衝撃だったし、定食屋での殺人シーンはラッシュを役員に見せるために撮影をかなり前倒しした中であの演技をしたと知って感動した。個人的に俳優志望だった学生時代にアル・パチーノの本を読んでは彼のキャリアを自分と比べて（自惚れが過ぎる！）焦燥感にかられまくっていたこともあったから、あの神様のようなアル・パチーノにもこんな時代があったんだと感動した。コッポラもみんな、昔はこんなだったんだから無闇に自分を卑下する必要はないのかとも考えた（自惚れが過ぎる！）。計算された照明と構図でドラマを描こうとするゴードン・ウィルスと演劇のように舞台を動き回る俳優の躍動こそ観客が感情移入する唯一の手段だと信じるコッポラの意見がぶつかるのも熱い。マイルズ・テラーとジュノー・テンプルが最高の友情関係だった。途中恋仲にならなくて良かった。バート・レイノルズが全然似てなくてびっくりした。吹替は中村章吾、寺杣昌紀、田中美央と限られた予算の中でアニメファンに媚びない堅実な配役をしていて嬉しい。アニメ声優ファンに媚びるU-NEXTではなくスターチャンネル側で作ったと思われる。中村章吾は安原義人を彷彿とさせる声質と台詞回しだけど、芝居が抜群に上手くてこれからの吹替界を担う人材だと思う。たぶん30代の声優では一番上手い。はっきり言って櫻井孝宏や平川大輔なぞに頼っている場合ではない。続編は「ジ・オファー2 / 地獄の黙示録に賭けた男」でお願いします。そして最終シーズンは「ワン・フロム・ザ・ハートに負けた男」。番外編でスターウォーズ編、砂の惑星編も希望。
