うさこ

ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男のうさこのレビュー・感想・評価

4.5
ゴッドファーザーのファンには至福の作品。あの完璧とも思える長編大作が、実は低予算で、打ち切り寸前。本物のマフィアからも攻撃され、綱渡りで作った映画だったとは。驚きの連続でした。

今や伝説の名作となっているゴッドファーザーの誕生秘話ということだけでも十分面白いのに、駆け出しのプロデューサー、アル・ラディの成長物語にもなっているし、「バディ」的存在感があったベティとの友情、仕事にかける人々の情熱など見所がたくさんありました。

面白いのは、実際のゴッドファーザーの場面は一切見せないのに、セットや小道具の一部のみで、どのシーンであるかわからせるという演出。見ていないのに、ありありと思い浮かぶ名シーンの影にはこんな出来事があった!というトリビアの連続に、ファンは狂喜しました。

そんな中で唯一映、画のキャストたちがそれらしくふるまったのが、コルレオーネ家を演じる人たちが食事をするシーン。登場人物になりきり、けんかまでしそうになる俳優たちをコッポラが満足げに見守るという興味深いシーンになっています。どの俳優もいい感じで本物に寄せてきていて、ついニヤニヤしてしまいます。

ポスター制作で、白地に登場人物たちがV字で並ぶという信じられないパターンになるはずだったかも?というエピソードに驚いてしまったけれど、このドラマのポスターがまさにその形になっているのは、制作者たちのユーモアなのでしょうね。

残念なのは、作曲家のニーノ・ロータへの言及が全くなかったこと。特に紆余曲折なエピソードがなかったのか、権利の関係か? でもきっとあのメロディを初めて聴いた時の制作陣は「これだ~!」と大喜びしたはず。あまりに想像に難くないことなので省かれたのかな?

きっとまだ気づかないトリビアがいろいろ隠されているはずなので、また解説など読んだ後に見返してみようと思います。
うさこ

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