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雨に消えた向日葵のバナバナのレビュー・感想・評価

雨に消えた向日葵(2022年製作のドラマ)
4.0
主人公の刑事・奈良健市は、実妹が性被害に遭い、今もPTSDに苦しんでいることもあって、今回の児童誘拐事件にも凄く熱心だ。
奈良健市を演じているのはムロツヨシ。いつものハッチャけた明るさは全くなく、犯人を見極めるためにじっと相手を観察する様は、大きな黒目で少し気味が悪いくらいだ。
健市の部下の刑事に「女将さん、何やっとるねん!」の今野浩喜さんや、いつもは丸顔で気のいい役が多い小松利昌さんの厳し目の上司も良かったです。

また誘拐された少女の父親に佐藤隆太。
都市銀行の支店の課長で、今回の誘拐事件で自分のことも反省しつつ、ひたすら我が子を探すために邁進する実直な父親役(ビッグモーターと縁を切ってよかったね)。

本ドラマでは、色々な物証から容疑者を絞っていく捜査の過程が、すごく丁寧に描かれている。
しかし、このドラマの舞台は坂戸市になっている。
坂戸市では、千葉大生が犯人だった児童誘拐事件が起きた現場なので、あの事件を素にしているドラマではあるが、まだ被害者がお住まいだとしたらむっちゃ酷くない? もう住んでいないにしても、なんで別の地域を舞台にしなかったのか?、と思ってしまった。

実際の事件では、誘拐された少女は犯人から親が離婚係争中でお前を捨てたと脅されていたらしいが、犯人が居ない合間にインターネットを見て、両親が数年経った今でも自分を探していることを知り、脱げる勇気が持てて自ら脱出した…という経緯であったが、
本作では、あくまで父親の熱意と、刑事たちの絶え間ない聞き込み(努力)の積み重ねで犯人を特定したと、フィクションではあるがその描写はかなり細かく丁寧に描かれている。
また被害者家族が金銭詐欺に遭う場面などは、大阪府泉南郡熊取町の女児誘拐未解決事件の被害者家族がかなりの額の詐欺被害に遭っているし、被害者家族へのイタズラ電話や中傷は本当にこの作品の通りなのでしょう。
こういう子供の失踪や誘拐事件が起きた時の世間の反応や、警察の捜査の進め方が非常にリアルに描かれていたので、観応えがありました。
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