全5話、回を重ねるごとに引き込まれたドラマだった。本人にしか分からない“なぜ”かと思っていたけれど、本人にも分からない“なぜ”でもあるのかと、ハッとさせられた。
ある日突然死んだ人間が蘇る世界で「復生者」となった徹生。身に覚えのない死を自殺だという周囲の声に反し、自分が死んだ理由を探し始めた徹生に、これは徹生が死に至るまでの記憶の空白を埋める物語なのかと思った。でも、タイトルの本当の意味は別のところにあって。「空白を埋めなさい」そこに込められた想いを知った時、胸がきゅっとなった。
自分でも気付かない程のギリギリ感。淵に立つ危うさ。徹生だけではなく、佐伯にも千佳にもあった心の中を巣くう闇。それらは、他者との繋がりの中で生まれてしまったものだからこそ、個人の問題に留まらないのだと思った。決して、“弱いから”ではない。コロナ禍で増えた今、改めて色々と考えさせられたドラマだった。
