深獣九

心霊マスターテープ-EYE-の深獣九のレビュー・感想・評価

心霊マスターテープ-EYE-(2022年製作のドラマ)
4.0
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い……

これは『心霊マスターテープ』であって違うなにか。皮をかぶったJホラー新時代。谷口猛監督、推せる!

なにが良いかって演出とシナリオが素晴らしい。個々の素材は既存のものでも、どう料理したら美味しく(怖く)できるのかが、現代の創作における評価だと思う。まったく新しいものを生み出すのはほぼ不可能。特に低予算なら、監督のセンスが物を言う。

その点谷口監督の手腕は素晴らしかった。Jホラーの原点であり、新たな地平線であると感じた。私のようなポンコツには理論なぞわからないが、本当の恐怖を肌で感じた。途中「いやだいやだいやだ」と震えたし「出るな出るな」と切に願った。こんな体験は久しぶりだ。

少し詳しく述べると、見えそうで見えない怪異の塩梅がたまらないのだ。小中理論なのだろうか。ゴアやスプラッターもいいけれど、やはり私はこういうのが好きなのだ。いや、嫌いかも。だってこんなに怖がっているのだから笑。やっぱ好き。

おかげで昨夜は悪夢を見た。余談。

控えめで効果的なジャンスケも心地よい。来るぞ来るぞ、で来ない。忘れた頃にひょっこりあらわれる。ほんとイヤ笑。だけど焦らされるのがたまらない。心臓どころか内臓ぜんぶねじ切れそうだ。

さらに評価したいのが若手の芝居。口語調でたどたどしかったり、「てにおは」がなかったり若者言葉だったり。リアリティを超えた妙な生々しさがあり惹き込まれる。特に第五・六話の芝居は凄まじかった。亡くなった同級生の母親と対峙するシーンやクライマックスで廃墟に乗り込むところは、目を手で覆いながら観ていた。こんな乙女な自分があらわになったのは、本当にいつ以来だろうか。感想文を書きながら思い出し、恥ずかしさに赤面しつつ良い作品に出会えた喜びに満たされてゆく。

最近の推し、佐々木勝己監督が携わっていたのも、私としては超アゲポイント。

尺も24分✕6回はちょうどいい。120分一本勝負はちと長いかもしれないが、連ドラにすることでやりたいことがすべて盛り込まれている。ダレるシーンもなし。ラストも良い。

Jホラーニューウェイブ(死語乙)の谷口猛監督、劇場版もぜひ撮ってください!
深獣九

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