木野エルゴ

ある告発の解剖の木野エルゴのレビュー・感想・評価

ある告発の解剖(2022年製作のドラマ)
2.7
イギリスの大臣ジェームズ・ホワイトハウスがレイプで告発された。告発した相手は不倫スキャンダルの元になった部下の女性。検察官ケイト・ウッドクロフトはこの裁判を担当することに合意したが、彼女には被告人とある繋がりがあった…

ミシェル・ドッカリー目当てで見出したドラマ。レイプ裁判の進め方や、立証するためのロジックと、立証する難しさがよく分かる作品。

「なぜ自分が告発されたのか」ホワイトハウス自身本当に分かっていない。この加害者による認知の歪みが、問題の根深さだと思う。無自覚につく嘘。自分の都合のいいように歪められた真実。彼の中で作ったストーリーが巧みである故に、周囲の人物も真実が分からなくなる。

「嫌よ、嫌よも好きのうち」という言葉があるけど、あれは本当にパワーを持つ側の詭弁だということがよく分かる。「嫌なものは嫌」それを都合よく解釈することは絶対に許されない。

ずっとジェームズのそばにいたソフィー自身も、無自覚に他人を支配する癖をもっていた。だからギリギリまでジェームズの醜悪さに気が付かなかったということなんだろう。

最終的にソフィーの告発でホワイトハウスは失脚したけど、レイプ裁判自体が無罪判決ならば何の意味もないと思う。

ところであの子どもたちは将来どんな風に生きていくのか。それが少し気になった。
木野エルゴ

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