碧

同居人は名探偵~僕らの恋は迷宮入り~の碧のレビュー・感想・評価

3.5
民国時代初期の上海租界が舞台の探偵物。

当時の特殊な状況がすごく興味深いし(すごく乱暴に言えば、日本の明治維新の頃みたいな感じですよね)、時代柄、国を憂いたり、国の未来を語ったりする台詞が出てきたりするのが、すごくくすぐられるし興味を惹かれる。

頭の切れるお坊っちゃんだけど、敷かれたレールに甘んじて乗りたくない主人公。(路垚)
刑事でありながらヤクザでもある準主人公。(喬楚生)
準主人公の親分の娘であり、タブロイド紙の記者であるヒロイン。(白幼寧)
と、時代も土地も人物も混沌としてるのが良い。

IMDbで時代考証が甘いというレビューがあったけど、予算の都合もあるだろうし、私の知識レベルでは許容できる範囲だと思った。




【ネタバレ】





途中まではすごくワクワクして見ていたのだけど、終盤、主要登場人物たちの人間関係のドラマが陳腐な感じになってしまったのは残念だった。

まず、白幼寧の、我が強い割に実質的な解決能力を持っていない(=作者に持たせてもらっていない)子供っぽい性格にだんだん疲れてくる。

時折、路垚と白幼寧がだんだん親密になるような場面が挟まれるにも関わらず、普段の路垚が白幼寧に冷淡なのも、路垚が感情の欠けた人のように感じて怖い。2つほど、女性蔑視的な発言があったし…。

路垚が同性愛者なのなら、女性蔑視的な発言はともかく、冷淡なのは女性に興味がないのだということでまだ納得できると思っていたのに、過去にも未来にもそんなことはなく。
私は路垚が喬楚生に片想いなんだと思っていました。あれとかそれとか伏線があるように思っていたし。 路垚を演じる胡一天氏の演技も、それを裏付けるような真に迫ったもののように感じていたのに。
喬楚生との、男同士の絆というよりも擬似恋人のようなシチュエーションの数々は、本当にただそれを散りばめてみたというだけだったのか…。(あとで、最近の日本のドラマでも、人物の親密さとは関係なく、単にサービスでそういうシーンを入れるのだと知った)

外国の描き方は、イギリスとドイツは先進国、ポーランド製品はいまいち、という感じだったかな。日本は少し出てくるけど、意外にも、悪く描かれている部分は特になかった。

敵役はイギリス人。でもイギリスという国を否定しているわけではない。
そういうバランス感とか、近代から法治国家への移り変わりとか、そういった描き方は現代的なのに、女性の描き方が何だか古い。…と思ったけど、『唐人街探案』も似たようなキャラクター設定なので、もうこういうものなのかもしれない…。

喬楚生は本当は白幼寧が好きというのを仄かして終わるのも、じゃあ途中の失恋エピソードは何だったんだと思うし。
喬楚生が白幼寧のことを雑に扱ってた時もあったので、その辺りをもっと丁寧に紡いでほしかった。

それはそうと、中国のドラマって、どれもOPとEDがめっちゃ良くないですか。
碧