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警部補アーノルド~チェルシー捜査ファイル シーズン1のkitoのレビュー・感想・評価

3.3
興味深く観終えた。舞台であり"主役"とも言えるチェルシーに個人的な思い入れがあり、スコアの「0.3」部分はノスタルジー・バイアスがかかってしまった。

ロンドン屈指の高級住宅街チェルシー地区を舞台にした警察ミステリー。ハズレの少ない高水準な "BBCミステリー" のクオリティを十分クリアしている。

ストーリーも映像も音楽もすべてにおいて奇を衒わない正統的な作り。各話45分、2話で事件が解決するのも程よく観やすい。劇伴は穏やかなクラシカル調で、アーノルド警部補が自宅でピアノの練習をしており、短いけれど彼が奏でるバッハの調べも心地よい。

ただ、いかんせん、チームリーダーのアーノルド警部補をはじめ相棒の女性巡査部長、男女ふたりのチームメンバーの巡査までそろいもそろってみな優等生でドラマのキャラとしては少し魅力に欠ける。カーチェイスや銃撃戦といったアクションは皆無。

そのぶん、チェルシーという街自体がメインキャストと言っていい。美麗な街並みで「住みたい街ランキング」でもきっと高位だろう憧れのエリアだが、その裏側では他と変わらない醜い犯罪が起こっている、というのがテーマなのだろう。


もう前世紀のことだけど社会人なりたての三年目に会社の海外研修でこのチェルシーに二ヶ月間単身で滞在した。初回の事件現場、サウスケンジントン駅のすぐ近くの高級フラットに滞在していた。毎日地下鉄を利用していたので構内や駅周辺に多少とも見覚えがあるかと思ったけれど、もう四半世紀以上昔だし記憶はすっかり曖昧になっていた。

当時はスマホはおろか携帯電話もなく紙の地図だけが頼りだった。まだ若かく初めての海外にかなりテンパっていたので、テムズ川がこんなすぐ近くだったなんてすっかり忘れていた。川沿いはまったく散策しなかったなぁ

ロンドンでは街並みの景観が法律で厳しく保護されており、昔からさほど変わっていないけれど、整備された川沿いやそこから見える遠くの景観にはやはり月日の経過を感じる。できるものなら、再訪したいなぁ
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