junior009

ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋のjunior009のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

毎話始めにギレルモ・デル・トロがタモリのようにストーリーテラーとして出てくる。向こうのテレビドラマでこういう演出は定番なのだろうか?
オムニバスホラー大好き。
少しずつ観て感想書き散らしていく。

『ロット36』
ニック、他人の写真や手紙まで奪う必要なんてないのに本当アメリアの言う通り地獄に堕ちるべき男、堕ちるべくして…といった感じ。古物商のアガサはあんな感じで危険な骨董品がやってきても深入りせず流通させる事で長生きするタイプなんだろうなぁ。タイマー式の照明と迷路みたいな倉庫内は怪異が現れる前からめちゃくちゃ不安になる。ローランド、死ぬ前にドッティが見られて良かったね。

『墓場のネズミ』
監督はCUBEのヴィンチェンゾ・ナタリ。入り口があんなんだし退路の事を事を考えると閉所恐怖症でなくても普通に怖い。自らのミスで怪我を負ってパニック増幅してしまうのがコミカルでありながらリアル感もある。墓守のデヴィッド・ヒューレットの表現力、悪いことしてるんだけど何だか愛らしくて憎めないオッサンだった。定型的な感じのオチは単にスッキリしてるだけでなく墓守とネズミの描写がしっかりしてて好き。

『解剖』
原作マイケルシェイはイギリスで報道官や外交官をやっていた人なのだそうな、多彩。
前半割と穏やかに進んだのでハズレかな?と思ったら。60分の割に解剖シーンに結構たっぷり時間使ってて新鮮、珍しい、面白いと思った。その当時のリアルなやり方と同じかどうか知らないけど、包み隠さず同じ手順の繰り返しを次の遺体で別アングルでも見せてくれる親切さ。そしてじわじわ始まる緊張感。自らの命を(しかもえげつない方法で)犠牲にすることでタコとの頭脳戦に勝利し友を守ったカールが登場時のイメージと違って最高にクール。痺れた。

『外見』
叩かれそうな発言だけど監督脚本に携わったのが女性だからあの居心地悪いマウントシーンが作れるんだよなと。Ana Lily Amirpour、原作のEmily Carrollは覚えておきたい。歳が私と近いので親近感湧くし、きっとまた面白い作品を作ってくれるだろうと思う、今までのものも観てみたい。
ありのままの自分でいるという事はシンプルだけど難しい。願望の位置付けと取り扱いも。
キース、地味でも理解のある優しい旦那さんだったのに可哀想。盲目になったステイシーにとって愛は鴨の臓物の様に不必要で排除すべき物であった、と言うことか。つーか刃物が刺さった時は病院行くまで抜いちゃダメだよなぁ。
もともと不安症と夢見がちなところがある彼女なので、精神崩壊したかと疑ってしまったけど違った。というか現実と空想、もしくは悪魔の悪戯?境界が分からない。
空っぽの身体でソファに腰掛けるキース、クリスマスプレゼントの時の言葉が頭に浮かぶ。瞳はガラス玉なのかしら。
そして変身後堂々の初出勤、と思ったら上着と襟元の猫ちゃんそのままなの、なんなん笑
仲間外れのステイシーを気に掛けてあげてたキャシディが輪の外にいるのもホントに…。
同僚に囲まれ夢を手にしたラストの空虚な笑い・気持ちの悪い間の繰り返しが辛い、コレはハッピーエンドに見せかけたバッドエンド。

『ピックマンのモデル』
H・P・ラヴクラフトの短編に基づく…ラヴクラフトは第二次世界大戦前に亡くなっていて、死後人気が爆発、再評価されている作家である、と今回初めて知った。怪奇、幻想、異次元とかSF。もう少し最近広まったのかと思ってたら100年以上も前から…めっちゃテンション上がった。
バカと天才は紙一重、狂人と天才も紙一重よな。ピックマンのその才は異質でミステリアスで何だか魅力的で、私も惹かれるものを感じた。
ピックマンが選び付き纏うようになったのは、ウィルに「それを伝えていく」為の才能を見出したからか。ウィルが引き寄せやすい体質だったのか。単に運が悪かったのか。
ピックマンは受け継がれた怪異と上手く付き合って役目を果たしていた様に見えるけれど、ピックマン亡き後、既に巻き込まれてしまったウィルはその運命に順応していく事ができるのか。見終わった後その先を色々考えてしまう。
地下の化け物が間抜けな顔だったんで怖さが半減したけど、ピックマンの絵画や食卓のビジュアルがエグいので飲食しながらの視聴はお勧めしない。

『魔女の家での夢』
5作目に続きこちらも原作H・P・ラヴクラフト作品…魔女裁判なんて現代日本じゃフィクション味しかないけど当時はもう少し身近だったのかなぁ。
冒頭からちょっぴりコメディ風味+ダークでメルヘンチックな雰囲気にワクワク。
エパリーの歌とピアノも、怪しい店の女(Gaby Moreno)の歌声もとっても魅力的。
ウォルト、挙動が怪しいし金色の液体を飲んだら死者に会えたなんて発言、薬物やったとしか思えないよな、と思う。
キザイヤと人面ネズミの関係はもっと見ていたい。なんだかディズニー味があって面白い。
シスターは何も悪いことしてないのに教会に悪魔連れて来られて被害受けて(死んだ…のか?)可哀想すぎだった。
ハッピーエンドからかけ離れた残り5分ほどのところで冒頭と同じ画「あれ?そういえばハッピーエンドを約束されていたのでは?」と思い出す。
ウォルトはいつまでも妹を取り戻す事しか頭になくてネズミの言う通りせっかく生きていても空っぽの「抜け殻」だったように思う。ネズミのお陰でその肉体は以前と比べよっぽど有意義に使われる事だろう。

『観覧』
監督は『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』のパノス・コスマトス、大富豪ラシターはロボコップのピーター・ウェラー。
オレンジ色とレトロな部屋のデザインが魅力的。理由はあれども前半やってる事が中学生の度胸試しみたいな感じ、シュールな音響設備とか、、、アレ?ってなった。
例の物体はビジュアル的にもう宇宙人が封印されてるか卵かそんな感じのやつじゃん、て思ったらそうだった。
しかし貝の吻のようでサタンの角のようでもある(いや角だな)部位を見ると単なる「地球外生命体」とは違う感じがする。生々しく悍ましいビジュアル、口を開けて観てた。笑
シャーロットは元々スピード狂なんかな?事故って死ぬのかとハラハラした。
そんであの撃たれる間際の一言はラシターのモノか、彼の声帯を利用したのか。
人間世界に現れたのは自然の摂理からか、侵略目的か。その後世界はどうなったのか…丁度良い余韻を残しながらの終わり方が良かった。

『ざわめき』
夫婦のすれ違い、傷付けあってしまう様子がリアルで痛々しい。ナンシーとエドガー両者の心情が分かりやすく表現されていて、どちらにも感情移入できた。
エヴァが何で出てきたのか、鳥が何で集まってくるのか、よく分かんなかったけど。
陰から出てきた男の子が悍ましい化け物若しくはサイコパスで鳥の死骸大量に抱えてるとかじゃなくて本当に良かった。あと、旦那さんとの関係が戻って絆が深まりそうなラストも。最後にハッピーエンドを持って来るのもこの手のシリーズ物の定番だったりするのかな?
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