イルーナ

ウェンズデー シーズン1のイルーナのネタバレレビュー・内容・結末

ウェンズデー シーズン1(2022年製作のドラマ)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

ネトフリにバートン参戦。
学生時代彼の作品にドハマリし、今年9月に再点火。今どうしてる?新作は?と思い調べたら出てきたのがこのドラマ。
『アダムス・ファミリー』と彼の組み合わせ。作風から考えて、今まで手がけてなかったのが不思議なレベルでぴったりの題材です。
(実際は映画版の時に声がかかっていたけど、『バットマン リターンズ』の撮影でできなかったらしい)
それで今回は、ウェンズデーが主人公のミステリー風ダークファンタジー。インタビュー映像だけでもうワクワクが止まらない。
さて、これ以上ない組み合わせは一体どのような作品に仕上がったのか。

……近年のバートン作品は彼らしくないと言われがちだったけど、本作はもう初っ端から濃い口の世界観です。本当にありがとうございました。
ダニー・エルフマンの曲も「ああバートンだ、バートンの世界観だ…」と引き込んでくれます。
ああ、かつて慣れ親しんだ世界!まるで「お帰り!」って言われてるような気分!
初っ端から弟をいじめた連中に対してピラニアで去〇……とカッ飛ばしてきます。
で、何度も退学になるウェンズデーが送られた先は、両親の母校にしてのけ者たちのための学園、ネヴァーモア。
そこで起きる怪事件にウェンズデーが挑む!という筋書き。

まず出る言葉が尽くキレッキレかつ語彙力フル回転の皮肉で、何があろうととにかくブレない姿勢のウェンズデーがカッコいい。
ほぼ瞬きしない目力で、圧がすごい。一方で、フェスターおじさんが出てくると満面の笑みに。かわいい。
ジェナ・オルテガは間違いなくハマリ役ですね。
ルームメイトのイーニッドも、正反対の性格だからこそ支え合えるという関係が素敵。
これまたエマ・マイヤーズもハマリ役。
彼女はカラフルな物大好きで、SNSを使いこなす陽キャだけど、毛皮族でありながら人狼に変身できないというコンプレックスを抱えていて自己肯定感が低い子。
一般社会でのけ者になるタイプを集めても、結局ヒエラルキーができて、またのけ者が生まれるという構図。
そうした部分にまで踏み込むのか!と思いました。本当に学校アレルギーなんだなバートン……
それでも生徒たちはみんないい子ばかりだったのには安心しましたけど。
他の仲間たちの中では、養蜂オタクのユージーンが印象的でした。
「こんな面白い子をここで使い捨てるの?!」と思っていたら、ラストでちゃんと活躍の場を与えられてて一安心。
『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』でも蜂使いが出てきたけど、結局能力活かしきれてなかったことを考えるとこれは進歩。
そして映画版でウェンズデー役だったクリスティーナ・リッチ……
友情出演的なちょい役かと思ったらレギュラーだし、ほっこりする役柄だなぁ~と思っていたらとんでもない重要人物だったのでそこは結構驚かされました。

また、本作は映画版2を観てたら本当にニヤリとくるものがあります。
カヌーレースに感謝祭や清教徒への強烈な皮肉、“健全な”映画を見せられてゲンナリなど。
この前のテレビ放送で映画版は予習済みでしたが、2だけでも観ておくことをおすすめします。
(カヌーレースで黒猫コスだったのは、『バットマン リターンズ』のキャットウーマンのセルフオマージュ?)
さらに4話の血の雨のシーンは思いっきり『キャリー』へのオマージュ。
「豚の血を使う根性もないのね」とまで言わせてるから本当にそのまんまオマージュしてる。

ただ、元の作品を知っていると違和感を感じる部分があるのもまた事実。
元々アダムス・ファミリーって、「一般人と比べて価値観や倫理観が正反対なので、大抵の事には動じない」という所に大きな魅力があったと思うのですが……
今回は家族全員割とあっさり動じてるし、「人殺し」などへの価値観が一般人とあまり変わらなかったり。
映画版なら、無実の罪を着せられたりしてもむしろ誇りに思ってそうなのに……
さらに後半、サイコメトリー能力をミスリード的に乱発した結果、冤罪を出しまくっているのも気になるところ。
ミステリーという題材でそれでいいのか……?

と、後半は引っかかる部分がちょいちょいあったのですが、全体的な完成度はハイレベルな逸品でした。
調べたら、バートンが監督したのって4話までなんだ。違和感を感じ始めたのが5話からだから……あっ(察し)
イルーナ

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