映画好きの柴犬

ブラック・バードの映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

ブラック・バード(2022年製作のドラマ)
3.8
双子のお兄ちゃんが、一番辛かったのでは

 実話ベースと言いつつも脚色で盛ってる作品も多いが、本作はクライマックスに向かって畳み掛けることもなく、割とグダグダなまま終わるところが、むしろリアリティを感じた。なので、クライマックスの盛り上がりには欠けるが、どう転ぶかわからない静かな緊張感と焦燥感の中での駆け引きが見応えあり。

 見てる方はラリーが犯人だという前提があるのに対し、実際にはその確証がないわけで、「連続自共犯」と異名を取るラリーの言動に翻弄される不安感はどれほどのものかと思う。言質を取らせないようにしつつも真実を織り交ぜ、相手を翻弄することで自己顕示欲を満たすラリーのサイコっぷりが恐ろしいし、ポール・ウォルター・ハウザーのなりきりっぷりも見事。

 しかし、親子関係の呪縛って、いい方にも悪い方にも逃れようがないからキツいな。