サンタフェ

ブラック・バードのサンタフェのレビュー・感想・評価

ブラック・バード(2022年製作のドラマ)
3.6
演者の演技を楽しむドラマ。

タロン・エジャトンもポール・ウォルター・ハウザーも怪演すぎる!とりわけラリーの回想回は回想を見ても全く対象への同情の気持ちが湧かないだけでなく、むしろただただ気味悪さが増すだけという傑作回でした。

シリアルキラーもの/猟奇殺人ものはどこか犯行に芸術性を見出したり犯人のカリスマ性を際立たせる演出をするものですが、本作はただただ醜く気持ち悪い存在であることを突きつける。本ジャンルとしてとても新鮮な作品でした。

…が、あまりにも展開がなさすぎ……。。最終的には「会いにいく→聞いた」の1展開しかありませんし、途中の看守への賄賂の話やマフィアに告発者とバレるくだりも結局全く任務への障害になりませんでしたよね。ちょっと緊張感が出ただけ。刑事サイドも同様で、結局潜入後も並行して捜査を描いたことが結果に影響しました…?何も影響してなくない…?最後の地図が焼かれたのも、血で壁に描くのも演出としては面白かったですが、さすがにあの地図で現実に遺体が見つかるとも思えないですし裁判は証言で勝ててるので(元々の任務も証言を取ること)地図関係ないですよね。

プリズンブレイクのように一つずつ障害をクリアして前に進むドラマならではの良さもなく、映画にすれば2時間で余裕で描き切れたように思います。さすがに演技だけで引っ張る作風を6時間見せられるのはつらい。

非アクション系映画をそのままドラマにした雰囲気の作品はtv+であれば「ドン・ジョン」コンビの「Mr.Corman」ありましたが、あちらはそれが1話完結エピソードを10話みれる贅沢さとして機能していたように感じましたし、主人公がロングスパンでゆっくりと成長していく要素もドラマならではの良さでした。

対して本作は本当に映画を6時間に引き伸ばしただけという感じ。演出も演技も素晴らしかったので逆に「映画にすれば傑作になったのに…」という気持ちが強くなってしまいました。最終話のエピローグも字幕で済みそうな情報をゆっっくり映像でやっていた印象です。完全に尺が余ってました。

tv+は制作中のゴジラを除くとほとんど有名IPを使わずに(小説原作といえど)新規コンテンツを制作するのは素晴らしいのですが、さすがにちょっと原作が不足してきてるんじゃないのかなと感じてしまいました。ドラマであればドラマに適した原作をチョイスしてほしいなと感じました。
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