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踊り場にてのFのレビュー・感想・評価

踊り場にて(2021年製作のドラマ)
5.0
グサグサ刺さりすぎて辛い
新年早々に見るもんじゃなかった…
本当に良かったし、生方美久さん本当に本当に本当に天才。まじで天才。真剣に何かに取り組んで諦めたことある人にとっては救いでしかない、全人類見るべき

生方美久が”諦める”をテーマに書くってだけで勝ちだから期待値爆上がりだったけど、その遥か上を超えてきてびっくり。これがデビュー作ですか……

何かしらにおいて”諦める”って経験は多分誰にでもあって、それを否定も肯定もせずに完璧に描き切られてしまうと脱帽するしかない。本当に生方美久さん……ってずっとなってた。このテーマ、ずっと語れてしまうけど結局世の中残酷だし、上手く行かないことだらけだけど、それでも頑張って生きてくしかないよなって思う。

まずいきなりやばすぎ
「お疲れ様、諦めはついた?」
なにこれ。諦められる訳ないんですよ…
なんか悔しくなってたら
“なるほど、才能がなくって諦めたわけね”
って言う怒りたくなるけど、ぐうの音も出ない事言われてなんか辛くなった。諦めるしかないこともあるんですよね…

“諦めました、初めてはっきりと口に出したその時ピシッと張っていた糸が緩まった感じがした…”
本当にしんどすぎる…


“学校なんて、大人になったら何の役にもたたない知識を必死に頭に詰め込んだり、意味もなくボールを追いかけたり、早く走ったり、友情を育んだり、恋愛したり、失恋してみたり、そういうのを全部青春って言ってキラキラさせて、大人を悲観させたりもする。そんな場所… なんか夢が詰まっているみたいで、息苦しいに決まっているのに… 決まっているのに… 夢破れた直後に舞い戻ってしまった”

まじで… どういう人生辿ったらこんな言葉書けるんだろ… 世界の解像度が高すぎる。やばすぎ。一回落とすというか、悲観的なこと書いといて。それを夢が詰まっているって表現するの天才すぎる。

“大丈夫?”
“大丈夫じゃないです!!!”
好き、これは完全に坂本裕二。

キャスト陣も完璧
私たちのお母さん??富田靖子さん安定すぎ
中田青渚、青木柚、富田望生。あまりにも強い。

“実らなかったから好きに踏ん切りがつかないのよ、だからいちばん好きな気がしちゃうの、消しゴムなの、私の好きを消しちゃうの”


“将来の夢も同じ、追いかけなきゃ叶うかどうかなんて分かんないでしょ。叶わなかったら諦めるしかないのにね。追いかけた結果が諦めるか、諦めないかどっちかだから。”
本当に苦しすぎ…

“私は諦めた人だよ、だから何?”
“ちゃんと追いかけたからでしょ、だから諦められたんでしょ”

ここぐっときすぎて本当に…
本気でやったから気づく感情もあるし、本気でやらなかったら知らなくても、見なくてもいい事もあったんだと思う。でも、その先を見ようと本気でやるからこそ価値があるし、だからこそ残酷なんだと思う。どこかしら後悔を持ちながらも生きてくしかないよな…



“そこでいちばんだからって外でもいちばんなんて保証どこにもないよ…”
中田青渚さん…


“諦める前と諦めた後ってどっちが辛い?”
“諦めるかどうか悩んでいる時がいちばん辛い”
本当に… すごいよ
死ぬほど分かる


“他人から諦めろって言われて諦められたら、そんな楽なことはないよね”
“諦めがついた時は、気持ちはどこに行くんですか?”
“諦めたら分かるよ…”

やばすぎ


“趣味は仕事に出来なかった好きなこと…”
“好きなことを職業にできなければ、お金が稼げなければそれは趣味です。”
なんか本当にすごい



“諦めるって言葉の語源知ってますか?”
って言ってから黒板消す時の清々しい表情好き。“こんなの定期テストと受験でしか役に立たないから”好きすぎ

こっからのセリフも好きすぎて、あまりにも良すぎて書き起こしてしまった

“詳らかにする、はっきりさせるって意味です。辞めるとか、放棄するとか、そんな意味はもともとはありません… 諦めるっていうのはポジティブな言葉だと思います。もう叶わないって自分の実力が明らかになった。だからやめる、それが諦めるです。なにもネガティブなことなんてないと思うんです。

私はバレエを諦めたから… 教師に戻ってこれました。とても前向きな決断です。
諦めが肝心、その通りです
夢は必ず叶う?諦めなければ実現できる?
嘘です、残念だけど嘘です、それ全部
夢は叶うこともあれば、叶わないこともあります。それでも夢を諦めたら、また次に何か夢と呼べなくても目標とか…抱負とか…そういうこと決めて、無理矢理でも適当でも意地でもいいから決めて…生きてかなきゃいけない
ただ、ただね… 夢を追ったことをある人間だけの特権ってのもあってね… それは夢を追いかけたっていう事実です。挑戦したことだけは褒めてあげられます。次になにか新しい何かをやろうと思った時、過去の自分がちょっとだけ… ほんのちょっとだけ優しく肩を抱いてくれます。背中を押すってほどじゃないです。そんな大それたことはしてくれないけど… でも… 肩にポンッと手を置いてくれます。それで生きていけるってこともあるから、だから大丈夫。みんな夢が… これはもう無理だな…叶わないな…って明らかになった時はどんどん諦めてこう、諦めて次に進んでこう…”

脱帽した… 生方美久天才だ、完全に天才だ
救いすぎるだろ…本当に
いつだって今の自分を殴ってくるのは過去の自分だし、寄り添ってくれるのも過去の自分なんだと思う。こんなの高校生の時に聞いちゃったら人生変わるだろ。
学校という存在と先生っていう存在をある意味で信頼しているし、そしてだからこその現実もあるんだろうなって思う。


全然強い言葉で励ましてくれないし、穿った見方って言われても否定はできないけど、でもそれでも絶対にこの物語に救われる人はいるし、本当に最高だった。生方美久がもっと売れてめちゃめちゃ評価される日はきっと来る


“大変なことって大変なだけの価値ある?”
“あるよ、結果がついてくるとは限らないけどね”
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