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ウ・ヨンウ弁護士は天才肌のドクバリのレビュー・感想・評価

ウ・ヨンウ弁護士は天才肌(2022年製作のドラマ)
4.4
面白かった。
勢い余って昨日、食べたこともないキンパを自分で作ったよ。(Delish Kitchenを見ながら)

日本の障がい者を主人公にしたドラマだと、割とストーリー展開がワンパターンになりがちだし、"障害に偏見を持った人と味方になってくれる人がいて、なんか主人公がいろいろ頑張る" ってだけの話だったりするイメージ。
で、本作もそんな感じかなってことで、観るつもりはなかったんだけど、ちょいちょいネット上で見かけるウヨンウとトングラミの挨拶(ウ to theヨン to the〜みたいなやつ) が気になったので観てみた。

主人公が自閉スペクトラム症の新人弁護士、っていうかなりハードル高めな設定なのにも関わらず、全話面白いってのは凄い。

基本的には1話ごとに1つの案件を題材にして、それをウヨンウの所属する法律事務所が弁護する、って感じなんだけど、その依頼内容は傷害事件や企業訴訟、金銭トラブルや村の立ち退き等々、バラエティに富んでいて、「明らかに依頼人が悪いだろ」ってパターンからの "社会正義を優先するか、依頼人の利益を優先するか" 的な葛藤を描いてみたり、自閉症の歴史や自閉症の人と社会との関わりを伝えようとする意思も感じたりして、なんてゆーかとても緻密。

そしてやっぱり、良いドラマはその登場人物も良い。
恥ずかしながら本作に出演している役者さんの内、知ってる人は1人もいなかったんだけれど、今となってはみんな好きになったよね。

もちろん、ウヨンウ役のパク・ウンビンは凄かったんだけど、ウヨンウの行動を思い返してみると、"騒がしい場所が苦手、目を合わせるのが苦手、偏食、オウム返し、几帳面、ひとつのモノに執着する"等の自閉スペクトラム症の特徴があって、きっといろいろリサーチして、誤解のないようにキャラを作っていったんだろうなぁ、と勝手に想像したりして、そのへんも作り手側の真摯さが伝わってくるし、何よりそれを演技で表現できるってのが凄いなぁと思ったり。
演出って意味では、ウヨンウが何か閃いた時の、風が吹いてクジラ/イルカのインサートが入るシーンはとても好き。
あと、タブレット端末でも操作するかのように頭の中の記憶を探る、映像記憶の表現が好き。

あとウヨンウ味方サイドの:
イジュノ(カン・テオ)
チョンミョンシク(カン・ギヨン)
チェスヨン(ハ・ユンギョン)
トングラミ(チュ・ヒョニョン)
がなんかもう全部良い。
良い上司、良い彼氏、良い同僚、良い友達、、このキャラ達×ウヨンウのほっこりパートが本作の見どころだなぁと個人的には思う。

余談だけど、ウヨンウが自己紹介の時に言う「キツツキ、トマト、スイス、子猫、南」ってやつは実際は「雁、トマト、スイス、インド人、流星」と韓国語で言っているらしい。
猫を韓国語でなんて言うかたまたま知っていたので、猫って言ってないよなぁって思ってずっと気になってたので、「聴こえないんじゃない、最初から言ってないんだ」って感じでスッキリした。

※自閉スペクトラム症について、文中に失礼な表現や語弊がありましたらすみません。
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