オレオレ

ジュリア -アメリカの食卓を変えたシェフ-のオレオレのレビュー・感想・評価

4.0
2009年映画版でメリル・ストリープの演じたジュリア・チャイルドと比べてやろう、というある意味意地悪な視点で見始めたが、maxといえどさすがのHBO、脚本が抜群だった。脱帽。

ホンモノに似てる似てないはどうでも良くなり(そもそもそこまで本人を知らないし)、彼女を中心とした登場人物それぞれを応援したくなるドラマ。そして、こんなひねくれた自分にも元気をくれる稀有なドラマだった。

働く女性がぶつかるガラスの天井や男社会での不条理だけでなく、その男社会で働く男たちのジレンマ、年老いた自分の存在意義、キャリアも恋愛も手に入れたい若者の葛藤、人種問題、夫のプライドなどなど、現在に通じるテーマが描かれる。
人生のいろんな地点(年齢や社会的地位など)に立っている登場人物がたくさんなので、誰が見ても共感できるんじゃないかなあ。そしてもちろんジュリア自身にも、最後の方のエピソードで足元を揺るがされる事件が…

個人的にはフィクショナルなキャラクターだという黒人アシスタントプロデューサーアリスも応援したいが、バリキャリジュディスの今後がやっぱり気になるなあ。

料理ドラマというよりはお仕事ドラマなので、私のように、料理テクのために見始めると肩透かしかも。
あと、ストーリーもいいが、1960年代前半の衣装やインテリアにも痺れる。特に編集者ジュディスのスタイル!ジュリアも常にスカートとパールにイヤリング。実用的かどうかは別だけど、出勤時はちゃんと化粧すっかな、と思ってしまった。