なっこ

一橋桐子の犯罪日記のなっこのレビュー・感想・評価

一橋桐子の犯罪日記(2022年製作のドラマ)
3.1
始まりから、これが自分の未来かもしれないと思う

原作未読。
共に暮らした親友“トモ”に先立たれ、ひとり残されたヒロイン。その寂しさに生き甲斐も失い希望もなくお金もなく、三食屋根付きの刑務所生活を夢見てお縄になるために画策する、“ムショ活”を始める。

なのに、それまで清く正しく生きてきたことが災いしてかなかなか犯罪を全う出来ない。それどころか、新しい犯罪を思いつく度に彼女が頼る人は増えていき、彼女が頼ることで、なぜかその人たちの人生はちょっと良い方へと向きを変えていく。ヒロインが気付かないうちに。彼女の必死な様子、一途な願い、方向は間違ってるけど切実なその態度が、ほんのり周りの人々の心をあたたかくする。

素晴らしいヒロイン像だと思う。おばあちゃんになっても、こんなに生き生きと可愛らしく生きていけるなら、歳を取ることも悪くないとさえ思う。でも、この国のおひとりさまの女の老後は、ムシャに入ろうかって程過酷だということも真っ直ぐ描いてくれていて、ちょっと皮肉だけど、良い。これが現実だろうよ。

私の大好きな薄幸の美人を演じることの多い木村多江さんが、女性セミナーの講師(実は結婚詐欺師)なかなかのハマり役。生き生きした彼女を見れたことも良かった。
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