せつ子

エルピス—希望、あるいは災い—のせつ子のレビュー・感想・評価

5.0
おかしいことにおかしいと言うこと、人におもねらず正直でいること、それは時にとても難しい。

最初はちょっとしたきっかけだった。でも少しずつ、過去に苦い思い出を持つ岸本と浅川が自分に正直になり、勇気を持ち、もうこれ以上大事なものを踏みにじられながら生きるなんて嫌だ!と立ち向かう。

打たれても打たれても立ち上がるふたりに胸が熱くなり最後はもう拍手喝采。よくぞやってくれた!素晴らしい物語だった。

まず世の中を知らないおばかな岸本のキャラに豪敦の顔と演技がぴったしで最高だった!母親に猫可愛がりされて育ち、自分のことをエリートだと思っている、世間知らずで空気が読めないポンコツくん。と思いきや、自分の弱さゆえに過去の傷に気付かないふりをして生きてきた。ドラマを通して成長し変わっていく振れ幅がめちゃくちゃ大きくて、でもリアルで、素晴らしい役者だと思った。

一方、長澤まさみ演じる落ち目のアナウンサーの浅川。新人時代から優秀なアナウンサーなんだけど、自分が事実として伝えてきたことの中にどれだけ真実があったのだろうと気付き、心身を病んでいる。その人物造形と設定が好き。

そんなふたりがひょんなことから冤罪事件の調査報道をすることになっていく。
凸凹コンビゆえに相性ばっちりで見てて爽快だしめちゃ面白い!

鈴木亮平もまた重要な役どころで、存在感と色気がはんぱなかった。長澤まさみとの関係がとても切なかった。が、最後希望が持てて良かった。

正義が一番、正義が勝つでしょと信じていた序盤から、思った以上に闇深くなっていくにつれ、もう無理だと諦めそうになる。何度も壁に阻まれつつ、力業で希望をこじ開けていくカタルシス!

希望って、誰かを信じられることなんだね、ってシーン。夕日に照らされた長澤まさみのカットが美しかった。
そこからの最後の戦い、まじでかっこよかった。こちらまで心拍数が上がり呼吸が浅くなるドキドキハラハラな展開…!

なんどもくぅぅ~!と唸り、オープニングの音楽に拳をふって応援してたw
最高のドラマをありがとう!!
せつ子

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