このレビューはネタバレを含みます
OPのキャンパスの埃が舞い、ひび割れした油彩が潤い復元されていく様が美しかった。
戦地に赴く若者たちが心に刻みたいと願い、最後に描きたかったものとはー
太平洋戦争により命を落とした画学生が生前に遺した作品を展示する無言館(長野県上田市)を題材に、館主の窪島誠一郎(浅野忠信)が設立するまでの歩みを描いていく。
戦地から友を残し帰還した洋画家、野見山暁治(寺尾聰)が時々見せる暗い表情。
「仲間のためにありがとう」とぽつり窪島に漏らした一言。
最初は退屈な内容に感じたが、よい出来だった。
特に、「弟は、、、」と真面目だけど弟想いの、でんでんの演技が最高に良かった。
営利目的だと揶揄され、苛立ってしまい工場を後にする際に響く工場音が車の開閉音でピシャリと止むシーンや、
年老いた雪江(檀ふみ)が縁側から眺めるハイビスカス。その夏だけは若かりし青春時代に戻り、隣には恋人の日高安典(影山拓也)がいるシーンなど、
心境の描写や、ほろりとさせる脚本は流石、劇団ひとりらしいな感じた。
5分、あと10分。彼らが生きたかった時間を自分はどう生きているだろうか。