Asino

無邪気な天使たちのAsinoのレビュー・感想・評価

無邪気な天使たち(2022年製作のドラマ)
4.2
フェルザン・オズペテク監督の「無邪気な妖精たち」をご自身でドラマ化したセルフリメイク版。あああなぜ半年以上置いておいたんだ私…。

あらすじは、夫マッシモを突然の事故で亡くしたアントニアは、夫の生前の不倫を知って愛人を探すことにするが、相手は男性(ミケーレ)だったとわかる。
彼女はショックを受けながらも、同じアパートで暮らす友人たちと、自室のテラスで日曜の昼食を共にして、大きな家族のように過ごしているミケーレ(や友人たち)と次第に親しくなる、が…。という話。
夫がヘテロと疑いもしていなかった中流階級(湖畔の邸宅の優雅なこと!)の医師の女性と、マッシモに妻がいることは知っていた若い芸術家でもあるゲイ男性は、親しくなってみればむしろ共通点の多いふたりだったとわかる。
でもそこに友情は、そしてそれ以上の関係性はなりたつのか?

と言ったところなんだけれども、8話も使っているのには理由があって、ミケーレのテラスに集まる「友人たち」(レズビアン・ゲイ・トランスジェンダー、そのほか様々な年代のシングルの人達)それぞれにもフォーカスが当たって、長年一緒にいるレズビアンカップルの間に起きる関係の変化とか、ものすごく仲がいいゲイカップルが結婚についてどう考えるかとか、トランス女性が絶縁状態だった家族とどう折り合いをつけるかとか、トルコからの移民女性の過去とか、実に様々な関係性を掘り下げつつ、血のつながりのない、でも「自分で選んだ家族」についても描こうとしているドラマになってます。

オズペテク作品ご存じの方には説明の必要のない、セクシャリティの型にはまり切らない関係性の描き方とか、セクシーな男性たちとか、とにかくひたすら美味しそう!!!な、大勢で囲む食卓とか、その辺の要素はもちろんたっぷり入っており。ファンとしては大満足でした。元旦からビンジした。
もちろん元の映画をさらに大きく膨らませてあるのでそっちを予習する必要はないですが、オリジナル版もD+にあります。

オリジナルが好きだったので大満足だしD+配信してくれてありがとう、なんですが。そもそもこのドラマD+で配信しているところにすごい違和感があった(笑)
ゲイ男性4人の全裸乱交(未遂)シーンとかあってR18指定になってるし(男性主人公の全裸サービスシーンはあるがセックスシーンはほぼないけど)D+全然宣伝してないし。

スマイリーがあれだけ評判になったのにこっちは全然見られてないのだとしたら残念過ぎる。

「友人たち」が、映画版に比べたらちょっとだけ上品になって辛辣さも和らいでいるので(映画版の方がだいぶ強烈)お勧めしやすい。
(映画版ご存じの方には、映画の「その後」まではいってます!!!!(大声)というところを言いたい。イスタンブール編ずっと見ていたかった。
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