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ナルコの神のrayconteのレビュー・感想・評価

ナルコの神(2022年製作のドラマ)
5.0
「ナルコの神」…?
ハイハイ、「ナルコス」の韓国版みたいなドラマってことね。
まあ別に嫌いじゃないけど、そういうのはいっぱいあるし、大体似たような感じだしな…。
とか思って観てみれば、完全にヤられる。
油断している脳天に一発キツいがドカンと落ちる、こいつは極上のスパイエンターテイメントだ!!

物語の主人公、イングはしがない貧乏経営者だ。
ビジネスも黒字だし、家族も養えてる。
でも貧乏が染み付いた体は労働以外の生きる術を知らず、金のためだけにあくせく働く毎日が本当に「生きてる」って言えるのか?
そんな彼が思いがけず手にした漁業ビジネスのチャンスは、スリナムという聞いたこともない南米の小国にあった…。

とまあ序盤のここまでだと、犯罪映画をたくさん観てきた擦れた私のような大人たちはその後の展開をこう予感するはずだ。
麻薬ビジネスに手を染め、麻薬王と関わり、欲のために殺したり殺され、あとはその先に待ち受けるデッドエンドかバッドエンドに邁進していく…多分そんな感じの話なんだろうと。
だが、予想は大きく裏切られた。
この作品はアンダーカバーものだったのだ。
さらに潜入者が民間人という所が面白さに拍車をかける。
善と悪どちらの組織にも借りのないから、自分が得する側の味方につくことができる。
しかもイングはビジネスマンだ。正義か金か、彼がどちらの運命を選ぶかは最後までわからない。
そして、途上国に新進した複数の勢力は誰も彼も未成熟で隙だらけな点も、いつイレギュラーが起きてもおかしくないワクワクを生む。
韓国中国の名優たちが演じるキャラクターは誰も魅力的で、ひと時も目を休ませてはくれない。
ちなみに私のお気に入りキャラは、ピョン・ギテ。さながら、あとから効いてくるスウィートなやつ。

次から次へと傑作を連発するメイドインコリア。もしも映画が麻薬なら、こいつは最高純度の高級品だ。
カラフルなスリナムを目一杯に吸い込んで、最高にハイなオーバードーズで踊ろう。
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