三畳

silentの三畳のレビュー・感想・評価

silent(2022年製作のドラマ)
4.5
失ったものを見つめるのではなく、与えることでみんなに幸せがまわりだすという普遍的なメッセージだった。
スピッツの「楓」をモチーフにしたとのこと。2話で「さよなら 君の声を抱いて歩いていく」を愚直にそのまま実写化したようなシーンがあって、あの瞬間スピッツファンなら誰でも頭でサビが流れたはず。
でもそこで、安易にBGMで楓が使われなかったのが、本当に良かった。
他にも言葉ではなくいろんなアイテムが心象説明に使われた。

「石子と羽男」、「初恋の悪魔」も素晴らしかった(「ユニコーンに乗って」ではそのような演出はひとつもなく全部口で言ってた)。
デザインがうまいとちゃんと届く。日本のドラマがこれからも視聴者を信頼して制作してくれたら嬉しい。

ほぼ毎話、紬がはらはらとさめざめと黙って涙を流すことしかできない「ただ悲しむ」シーンがあり、それが不可逆な現実に抵抗するでもなく受け入れるのに必要な時間に思えた。

春尾先生と奈々の物語で掘り下げられた偽善への視点と乗り越え方が良かった。

紬は想からも湊斗からも愛されるほどの魅力がないというか、ゲームの主観のようにあえて何の性格も書き込まれていない気がした。
三畳

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