素晴らしいなぁ。傑作ドラマでは?世界レベルでは?違うの?
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何から書けば良いやら。。
◾️ホラー描写&誠実さ
ホラー映画の監督が入っているだけあってホラー映画の手法がふんだんに使われてる。
そのおかげでホントに怖いし苦しくなるシーンの連打。
実際の事故(事件?)をホラー映画みたいに撮ることには微妙な気持ちにもなりそうなんだけど
このドラマがとても誠実に作られているのが最初からわかるので
ただエンタメ化するのが目的ではなく
実際に被害に遭った方が感じた恐怖を我々に感じさせるためのものだと信じることができました。
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◾️CG凄っ
まず冒頭の地震のシーンが凄かった。
カメラや画面を揺らすことで地震を表すものが多いけど、
「どうやって撮ったんすか??」っくらいに棚とかモノとかがガタガタ揺れてバンバン飛んでいく。
津波の前の地震の時点でとんでもなかったことを思い出しました。
この地震のシーンで本気度が桁違いだとわかった。
そして津波シーン。
CGに見えないのだが。。。どうやったのよ、これ。マーベルでももっとCGだってわかるよ。
逃げる人もリアル。ちょっとぼーっとしてる人がいたりするし、間違ってバックしてきた車に轢かれそうになるとか。モブがモブじゃない。全員一人一人かけがない人間。死んでいい人が出てこない。だからずっと怖い。
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◾️俳優凄っ!
全体の士気が高いの大前提で、その中心の役所広司がやはりとんでもなく凄い。
何人いるんだっていうメインキャストたちは全員主演級だし、うるさくも重くもないんだけだ全員深みたら存在感がある。
現場の中央制御室の到着長の竹野内豊とか、首相の小日向文世とか、東電副社長の光石研、運転員の小林薫。
あとはでんでんとか吹越満とか鈴鹿央士とか。自衛隊の高橋和也とか。役の300パーくらい大きく深く演じてる?演出もあるけどさ。
あと、『カメラを止めるな』の細井学さんとかが免震重要棟で働く1人としてセリフもあったかどうかって役をやってるわけさ。
モブがモブじゃねえのよ。モブがモブでいられねえのよ。なぜなら全員実在の人物だから。。
(一個惜しかったのは、、テレビの中のアナウンサーとかコメンテーター。。。ちょっと平面的だったね。。。)
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◾️あまり誰にも加担しない
当時の首相はイラ菅と呼ばれた菅直人。直情型の彼の言動にはこっちがイラッとするけど、
なんの責任感もなくぬるぬる逃げる吹越満とか「そりゃイライラするよね。。」という原因もちゃんと描かれる。
ちゃんと描かれるっていうか事実を描いていけばそうなる。
意図的に賛辞したり意図的にバカ扱いにはしていない。単に事実を描いたらそうなっただけ。
『シン・ゴジラ』と同じようなダメ上層部、ダメ官僚、ダメ組織、ダメ「ほうれんそう(報連相)」が面白い。
日本のディザスター映画はこうでないと!
ただ実話なんでね。。笑ってられない。。いい加減にしてほしい。
でも「世界よ、これが日本だ!」って感じで興奮もしちゃう。
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◾️2011年3月11日以降
僕は当時32歳で東京にいました(今も)。
鬱っぽくなるくらいに震災や原発事故のニュースを浴びてましたが、正直原発事故のその後の数日間については詳しく知りませんでした。
というか当時はちゃんとした報道は期待できなかったし、その後もイデオロギーに事実が歪められたものを見聞きするのもイヤで、近寄っていかなかったのが正直なところです。
だから展開を知らなくて、、このあとどうなるんだっけ、、この人たちどうなるんだっけ、、とずっと気が抜けなかったです。
知識として知っていた方でも、実際に映像として見ると相当な衝撃だったと思います。
放射線の被曝。
ヒロシマやナガサキの原爆で被曝された方がどんな症状に苦しまれたのかは、『はだしのゲン』や『この世界の片隅に』などで見てきたはずなのに、今回の原発事故の〝被曝〟とは結びついていませんでした。
いかに自分が言葉を聞いているようで聞いてこなかったのか。
今作ではそれらが映像でバンバン見せられる。説得力が半端ないし、、、その映像はイデオロギーが入り込んで歪められる余地がないのほど強烈でした。
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◾️結局どうなったんだっけ今どうなんだっけ
恥ずかしながら結局どうなったのかもあまり記憶になくて、、日本崩壊の寸前までいっていたなんてまったく報道されていなかったし。。
そして、今原発がどういう状態か。
廃炉にも何十年もかかる。
夢の永久機関と呼ばれていたのに、何十年か使って甚大な被害を出して廃炉にするのにまた何十年もかかる。
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今作はこの事故の記録でありこれは世界史に残すべきことだし、同時にそれをここまで素晴らしいエンタメドラマになっていることからするといかに製作者がこのことを広く世界に知ってほしいと願っているのかが伝わります。