眼鏡の錬金術師

仮面ライダーBLACK SUNの眼鏡の錬金術師のネタバレレビュー・内容・結末

仮面ライダーBLACK SUN(2022年製作のドラマ)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

大人のための仮面ライダー。アマプラオリジナルドラマで全10話。

昭和最後のライダーであるブラックのリメイク的な作品。B級だが十分おもしろかった。こういう企画を実現してくれたことに感謝したい。

主人公ブラックを演じるのは西島秀俊、ライバルシャドウムーンを演じるのは中村倫也と、キャスティングも豪華だ。
ただし、全体的に演技力は低い。一部素人なのかって人が混じっている。

元ネタのブラック自体は私が生まれたあたりの作品で、リアルタイムには当然見てない世代だが、幼少期にVHSで見た記憶はある。どちらかと言うとブラックRXが好きだったと記憶している。

さて、世界観は怪人の存在が古くから認知されている現代日本。50年前にゴルゴム闘争なる闘いがあり、そこに若かりし光太郎や信彦も参加していた。
怪人たちは生存権を主張し、時の総理の孫を誘拐。交渉するが、その結果は中途半端なものだった。
それが連面と続き、50年後の現在まで怪人と人間の対立が続いていることらしい。

また、創世王なる存在がいて、そこから得られるヒートヘブンという物質が重要なアイテムになっている。これによって現総理は裏でビジネスをしていたり、怪人たちは食って寿命を延ばしたりできるようだ。でもヒートヘブンの原材料は人間?
その創世王が死にそうで、新しい創世王が必要で、そのためには二つのキングストーンなるアイテムが必要らしい。その一つを葵が持ってると。

物語は50年前と現在を行き来して進行する。総裁の堂波、過去に不平等契約をしたダロム、タカ派のビルゲニアや信彦、そして静観を決め込んだ光太郎、それぞれの思いが錯綜していく。

中盤、葵は忠告を聞かず、キングストーンを持ってノコノコ罠にはまり、カマキリ怪人にさせられてしまう。怒った光太郎はブラックサンに変身。ここ、熱いね。キングストーンのひとつはもう堂波が所持しており、2つ揃ってしまう。
そしてゴルゴムの本拠へカチコミする一行。

思いの外創世王が強く、自身も重症を負いながらなんとか倒すブラックサン。差別主義者に殺される俊介、それを受けてシャドウムーンはぷっちんして覚醒。人間をぶち殺すことに決め、ついにブラックサンとキングストーンをめぐって対立することになる。
覚醒したシャドウムーンには歯が立たず一度敗北するも、ヘブンで復活し、最終決戦へ臨むブラックサン。シャドウムーンを倒すが、自らは創世王となってしまった。そして葵はブラックサンを救うために殺し、ビターエンド。
これで怪人たちは寿命で死んでいく訳だね。

全体的な世界観はほとんどデビルマン的なディストピアで、一部の演技力の低さとか、怪人の着ぐるみ感なんかは目に付くが、リアル志向の演出やグロと仮面ライダーの親和性は高く、昔仮面ライダーを観て育った人たちが大人になって描きたい仮面ライダーの画にちゃんとなってる気がした。少なくともそういった感覚は共有できた。

デビルマンとテーマはかぶるけど、勧善懲悪のヒーロー物語でなく、人間にも怪人にも悪どいやつはいるというか、一人の人間の中に愛憎も善悪も入り乱れて存在していて、視点を変えれば正しさも変わるということをしっかり描いてるとこは好感が持てた。

特に9話のビルゲニアの孤軍奮闘は演出も際立ってて神回と呼ぶにふさわしい回だった。