Punisher田中

仮面ライダーBLACK SUNのPunisher田中のレビュー・感想・評価

仮面ライダーBLACK SUN(2022年製作のドラマ)
4.8
仮面ライダー50周年記念作品とのことで大人がターゲットなだけあって、政治色が強めであるため一種の危うさは感じずにはいられない今作。
配信初日からその異様さによって賛否が分かれる評が目立つ今作だったが、僕的には大変満足のいく作品だった。
今をときめく白石監督の作品なだけあってカットや構図はキレッキレで、画面の彼方此方にブラックのエッセンスを含んだ映像には感服。
元ネタのブラックだったり今作を象徴するモチーフ「∞」をいくらか散りばめつつ、今作自らで∞にピリオドを打とうとするラストには画面上の情報とストーリーによるテンションのコントラストを感じたがそこがまた僕達が受けたメッセージの余韻を強くしてくれた気がする。

仮面ライダー作品というよりかは一本の映像として楽しめた印象を第一に受けたが、勿論、仮面ライダー的な面白さも詰まっている作品だ。
BLACKを極限にリスペクトした演出やアクション、勧善懲悪とはいかずとも泥臭く敵に立ち向かうヒーロー然としたBLACKの立ち姿、カッコ良すぎなんだよな。
今作、僕達の期待に応える形で徹底的にダークな仮面ライダーとなった。
そのせいか、相対的にあらゆるものがダークで深く表現されたためにこういった賛否の評が渦巻いているわけだが、作品全体を通して表現されたこの世界に対しての限りの無い問題提起や僕達・大人の存在意義やらは大人に向けたモノだからこそ伝達出来ることで、こういった"真の"大人向けな仮面ライダー作品が鑑賞出来るこの時代にただただ感謝したい。

恐らくだが、今作はただ政治色や社会風刺を強くしているんじゃないし、今作を通してそれらを解決させようとしているのでもない。
ただただ""問題""があるということと、その問題を僕達が創り上げているのにも関わらず、決して当事者として意識していないということに対しての監督自身の怒りや、問題を知るためにしている表現だと感じずにはいられない。
それらを踏まえての大人に向けた仮面ライダーだったように思う。