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仮面ライダーBLACK SUNのmatchypotterのレビュー・感想・評価

仮面ライダーBLACK SUN(2022年製作のドラマ)
4.0
✨🎉㊗️TVドラマレビュー3️⃣0️⃣到達㊗️🎉✨

TVドラマは30レビュー到達だし、これは仮面ライダー生誕50周年記念作品だし、めでたいこと尽くし。

もうこれは観ずにはいられない。
87年にやってた『仮面ライダーBLACK』のリメイク、『仮面ライダーBLACKSUN』。

少し賛否両論分かれてるみたい。けど、良いと思う。観て良かった。かつて子供心にドキドキワクワクしたあれが、大人になって大人として血が騒いだ。それを感じられて、それで良いと思う。

どちらかと言うと『仮面ライダーBLACK RX』の方がバッチリ世代だが、当時、再び巻き起こった旋風を、ここでまた大人になっても楽しめるのは何よりの幸せではないか。
あれはどうだ、これはどうだと細かいことは気にしなくて良いんじゃないか。胸熱で面白いんだから。

かつてのそれを、遊び心も入れながら、仮面ライダーたる所以をここまで剥き出しに描いてくれたことがとても嬉しかった。

南光太郎、“BLACKSUN”。
秋月信彦、“シャドームーン”。
この宿命を背負った2人の怪人、いや、ライダーの因縁を中心に、この人類と怪人がダブルスタンダードで生きる世界と“創世王”を巡る対立や、差別が蠢く世界。

なぜ、科学者の親たちはそんな研究に明け暮れたのか、なぜ親たちは彼ら2人に“キングストーン”を託したのか、“創世王”とは何なのか、そこから生まれるモノは何なのか。

人類と怪人。
50年という長い時間経ても交わる事のない種族が、それでも何かを変えたいと願い、何かを託したいと願い、受け継がれる魂のバトン。

それを学生運動や、政治などに潜ませながら、そしてその歴史の積み重ねでできた人間関係と共に、再び幕が開き、2人が目指した先に1つの幕を下りる。

全10話、あっという間に観終わった。
西島秀俊、中村倫也、本当にこの2人が壮絶な運命を全うしてくれたと思う。

この元の『仮面ライダーBLACK』では、怪人たちはそのモチーフとなる動植物、昆虫の名前そのままで呼ばれる。“クジラ”“ノミ”“コウモリ”。それをそのまま踏襲してるのも愛を感じる。

あの“三神官”、ダロム、ビシュム、バラオム。
元の『仮面ライダーBLACK』ではなかなかグロテスクな見た目だったが、吉田羊はじめ、しっかりと明確な意志を露わにしたゴルゴムの中枢としてまた違った存在感があった。

なかなか“変身”しないから、そういう設定がないバージョンの、ゴリゴリの怪人テイストで今風の“お作法”ナシで行くのかと思ってしまうほどに、それを引っ張る。

それがかなりストレスだが、そのストレスを超えた先の第5話、そして、第8話、そして、最終話10話目。盛り上がりの“神回”が3回ある。

これはもう1人で観てても「おぉぉぉ!」と一緒に拳に力を溜めたくなる。10話目のオープニングも最高だった。

葵という存在も活きてる。
人類と怪人が政治や生活レベルでお互いの存在を認知している世界をベースにすることで、差別問題を浮き彫りにする。

その一方で、じゃあ自分が怪人になっても、人類からの冷たい目を直に浴びても、生活や自分の体が色々変わっても、その差別をやめろ、手と手を取り合おうと言えるのかという、なかなか綺麗事だけではないシビアなところにもメスを入れてる。

怪人の主食“ヘヴン”の原材料、“創世王”のエキス、“キングストーン”、“創世王”を継ぐことの意味。

人類から見れば怪人は悪でありながら、その悪と戦うのは怪人から生まれたライダーであり、そのライダーは怪人が作り、その怪人と“創世王”は人類が産んだ。

どれを取っても、安易にどっちがどう正しいとも言いにくい絶妙なラインで描き、その不安定な均衡の中で2人の絶対的な“後継者”が対峙する物語。

重厚なドラマ模様と特撮ヒーロー。
現実的な生活感や世界観をギリギリ残し、特撮ならではのお作法もギリギリ残す。

あの5話目の「葵を、、、葵をよくもぉぉ!」から、両拳のポーズの時と、10話目の最終決戦の時の瀕死の状態からの後退りしてからのダッシュでジャンプの時。

そこから続くそれらのことを知ってるだけに、ほんとうにそれがそこで観れるなんて思ってたけど、本当に起きた時の歓喜ったらない。

昔、いわゆる“ごっこ遊び”で、何としてもシャドームーンではなく、BLACKになりたくて、必死に地団駄踏んだであろうBLACKのヘルメットを買ってもらったあの頃を思い出す。

このオープニングのトラックも耳に残る。“らしさ”があって良い。

あー、楽しかった。


F:1892
M:1645
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