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リバーサルオーケストラのnoelのレビュー・感想・評価

リバーサルオーケストラ(2023年製作のドラマ)
5.0
最高でした!

門脇麦と田中圭のオケドラマって情報に初めて触れた時は、門脇麦は根暗なイメージしかないしどうせ当て振り下手くそなんだろうなとか、田中圭はあな番の印象強すぎて指揮者に見えるわけないとネガティブな予感しかなかったけど、「うつくしいひと、サバ?」で好演してたロイック・ガルニエと「エルピス」で話題になった岡部たかしも出るし、クラシックは割と好きだし数年前からバイオリンが趣味の私としては一応見ておくかと。

冒頭の安っぽさにズッコケたけど、たぶん多くの視聴者が「なぬ?」と二度見したであろうウィリアムテル序曲の初音のスピッカートに私もやられました。
のだめでの水川あさみのバイオリニストぶりは圧巻だったけど、ここまで「バイオリンを弾いてる」を演じた俳優はそうそう居ないでしょ。
弾くふりをするだけでもどれだけ大変か分かるだけに、ひたすら感服。

それに、初音が帰ろうとした時に繋ぎ止められた蒼君のフルートに私も繋ぎ止められたのでした。
威風堂々の練習シーンとかで、普段は他の楽器の音に埋もれてナンボなパートのメロディを抜き出して聴かせて楽器の存在感を見せてくれたのもこのドラマの良いところ。
ティンパニの存在感も藤谷さん回のお陰で知ることができたし、ビオラの音色もオケもので出ることってまずないからこのドラマの気概を感じたり。

あと、役者陣の見直しがすごい出来た作品でした。

「恋する母たち」ではあんまりいいと思わなかった渋川清彦はめっちゃ渋くて素敵だったし、エモタスと「火口のふたり」でセックスシーンを頑張った人って印象しか無かった瀧内公美は今まで知らなかったことを土下座したいぐらい魅力的なひとで。
前野朋哉も「重版出来」のタンポポ鉄道の人の印象で止まってたけど、いつも一言多くて朝陽に睨まれるオタクなセカンドがハマってて見直した。

B太こと永山絢斗には期待してなかったけど、初音と和解してからの彰ちゃんの可愛さよ!
加藤雅也も直近がDCUのアタオカな役だったから一抹の不安があったけど、清々しさ半端ないカッコ良さしかない天才マエストロだったし、原日出子も日本人には珍しく色気と心身の厚み凄かった。ほんとみんな見直した。
タイムボカンシリーズの悪役みたいでポンコツ過ぎて憎めないツダケンも、ちょっと存在感薄いのが個性な弓香さんも、出来る女なかおりさんも、ほんとみんな箱推しです。

初音の朝陽への突進振りが凄かったけど、あえて抑えられてた「天才性」が「好きなことには真っしぐら」な面に出ていたのかなと。

朝陽が初音にこだわった縦糸的な背景の描き方はもちろん、蒔いた種は良いところでしっかり刈り取る綿密かつ丁寧なシナリオは見事だし、ラストで盛り上げるための劇伴にチャイ5アレンジを多用したのも見事。
オープニングの曲だと知ってフルで聴いてたチャイ5が今や一番のお気に入りになりました。

生のオーケストラ聴きに行くぞ!
バイオリン頑張ってアマオケに入るぞ!

続編かSP待ってます。
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