ノーカントリーやビッグリボウスキなどで知られるコーエン兄弟が制作したドラマ版ファーゴのシーズン5。
シーズン1、2、3、そしてオリジナルの映画の良いところを詰め合わせたような素晴らしい作品でした。シーズン4で滑っていた分を、今作はシンプルな展開で上手く取り返していたと思います。例によって笑えるし、うっかり良い話に転がるのもファーゴらしくて良かったです。主役のジュノーテンプルを始め、ジョンハム、ジェニファージェイソンリー、ジョーキリー、サムスプルエルなど、皆素晴らしいパフォーマンスを披露していて、陳腐な表現になるけど感動しました、ラストの落とし所も、今までのマルヴォやVMヴァーガとは違う方向性を見せていたのが今回のハイライトの１つだったと思います。また、従来のオマージュ元であるオリジナルのファーゴ、ノーカントリー、シリアスマンと並んで、シャイニング、ナイトメアビフォアクリスマス、ホームアローン、ジェニファージェイソンリー繋がりのヘイトフルエイトのような名作の引用が多かったのも、意外性があって面白かったです。
ただ個人的にはシーズン1、2、3よりも劣っていると感じた部分もありました。シーズン4に比べると改善されていたとは言え、キャラクターが多過ぎた気がします。他のキャラに比べるとどうしてもインディラ、ファー、グレイブスなどの扱いが弱かったです。あとこれは海外のレビューでちょくちょくあったことなんだけど、ファーゴあるあるの変な展開が意外と地味だったというか、良くも悪くも答えが見え過ぎていました。エピソード7のリンダも、マンチの出自についても、がっつり答えが明示されていて、置きに行ったような印象を受けました。結局シーズン3の評価の方が今作よりも高いのは、そういう部分の影響かと思います。
悪いところも色々書きましたが、とても好きなシーズンだし、終わってしまった時は感動と寂しさで胸がいっぱいになりました。ノアホーリーの次回作はドラマ版のエイリアンですが、まだまだファーゴも作る意欲があるそうです。もしシーズン6を撮る場合は、ジェニファージェイソンリーが演じていたロレインの80年代を描くというのはどうでしょう。
