サトタカ

FARGO/ファーゴ:カンザスシティのサトタカのレビュー・感想・評価

4.5
2022年のアカデミー賞でウィル・スミスにビンタされた印象が強すぎるクリス・ロックが、コメディ要素ゼロで黒人犯罪組織のボスを演じていた。声が高くて、おもしろおかしいイメージだったので、重厚感あるボス役にちょっと驚いたけど、とても上手だった。この人って涙目というか、目がキラキラしてるのよね。昔、映画「ニュー・ジャック・シティ」のチンピラ役で見たくらいでお得意のスタンダップ・コメディしてるところを見たことないんでごめんけど。

ベン・ウィショーが演じたのは、もともとアイリッシュのマフィアの息子なんだけど、幼い頃にユダヤ系マフィアにトレードされ、さらにイタリア系マフィアにトレードされるというかわいそうな男、ラビ・ミリガン。なかなか魅力的なキャラクターだった。(竜巻には笑わされた。)

対立する組織同士が協定関係の証にトップの息子を交換するという習わしがあったらしい。勝手にトレードに出される息子たち、かわいそすぎる。

ゲイと公表しているベン、だからってわけじゃないんだろうけど、黙っていても醸し出す内向的な雰囲気とか、知性とか、くせのある感じがひじょーによい。

最も強烈な印象を残したのは、ジェシー・バックリーが演じたサイコ看護師オラエッタ。もう頼むから早く死んで〜、誰か殺して〜wと思いながら見てた。片側の口角上げて、きょとんとした顔しながらやることがエグすぎる。

頭のいいエセリルダ嬢、ゼルメア&スワニーの銀行強盗レズビアンカップル、チック症の腐れ刑事、イタリア系マフィアの兄弟、謎の亡霊などファーゴ・シリーズらしさを形成する面白キャラ盛りだくさん。

しかしイタリア系移民ってけっこう迫害されていたのね。
スパイク・リーの映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』でもイタリア系と黒人がケンカになっていたけど、両者とも差別されてきた歴史があって根深い問題だったんだなと…。
ユダヤ系やアイリッシュ系、イタリアンって向こうの人は見れば分かるんだろうね…。みんな白人ちゃうんって思っちゃう。

アメリカで最下層のアジア系がのほほんと言うことじゃないか…
サトタカ

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