Jonayama

FARGO/ファーゴ:カンザスシティのJonayamaのレビュー・感想・評価

4.1
気がついたら配信されてて驚いた!まさかのシーズン4!

舞台は1951年のアメリカはカンザスシティ。
次々流入してくる移民マフィアが裏社会を支配しては倒され交代していく街。
ユダヤ系→アイルランド系→そしてイタリア系が牛耳る時代にカンザスの新興勢力の黒人マフィアが彼らと対立する。
双方はこれまでの支配者たちがしてきたようにそれぞれの長の息子を人質として交換し均衡を保とうと約束を交わす。
しかしある些細な出来事が一触即発の事態への引き金となる…



冒頭でいつものごとく強調される"これは実話である"という嘘(笑)
途中からおもしろさが浸透してくる独特な構成。
幾重にも重なる行き違いが終盤に取り返しのつかない出来事をもたらす伏線のある脚本。
一見全く関係ないが徐々にリンクしていく濃すぎるキャラクターたちが織りなす人間関係。
おもむろに描写される容赦ない血生臭さ。
生きるか死ぬかの瀬戸際なのにどこか笑えるブラックコメディ感。
そして最後に笑う小市民。

…うん、いつもの『ファーゴ』だ。素晴らしい。
今回もグイグイ引き込まれる展開で極上のブラックコメディ系クライムドラマを楽しませてもらった。


登場人物は皆それぞれぶっ飛んだ個性をしているが個人的には大好きなジェイソン・シュワルツマン演じるジョスト周りに感情移入しながら観ていた。狭量で決して優秀ではないがなんだか憎めなくて愛すべきキャラクターだったな。。
不器用だが情深いベン・ウィショー演じるラビも良かった。
本作にいかにもな善人はほとんど出てこないが多くの人物がそれぞれに魅力的な面や印象深い人物像を持っていて『ファーゴ』シリーズ恒例のキャラクター造りの妙を今回も味わうことができた。

シリーズでも屈指の犠牲者が出るどぎついシーズンでもあるため「さすがに笑えねーよ!」ってシーンもちょいちょいあったり、テーマのひとつがアメリカの歴史を辿ることである点やいわゆるBlack Lives Matter運動が盛り上がっていた時期の作品でもあるためかやや黒人に肩入れした説教臭さも感じるが、それを差し引いても有り余る魅力のあるドラマだと思う。
初代にあたる映画『ファーゴ』やドラマ版のシーズン1、2には及ばないかもしれないが映画・ドラマ好きなら観て損はない作品だ。





ちなみに最後の最後まで観ると登場人物の1人が過去のシリーズのある人物へと繋がっていくファンサービス的な描写がある。
シリーズを観てきた方ならあの横顔を見て1秒で気づくはず(笑)
Jonayama

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