くもすけ

ミスキーナ ~かわいそうな私~のくもすけのレビュー・感想・評価

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一本30分×8で見やすい。三世代の絆が良くも悪くも固く、冠婚葬祭シーンで親族の集まる様子が見られる。監督インタビューでフランスに居るときはアルジェリア人、アルジェリアにいるときはフランス人になる、と自嘲的に語っている。
フランス国内の移民は1割程度で、その半分がアフリカルーツ。ムスリム人口は約600万人でEU最多。アルジェリア移民は移民の中でも古参にあたるのか、三世代が慎ましく暮らしており、その生活圏内が描写されるのが新鮮だった。
徒歩圏内で話がすすみ、いとこのSNSチェックと礼拝をこなすだけの生活は、ここが埼玉だと言われても納得してしまいそうなシティニートライフ。続編ではパリムスリムのオタ活が見たい

ep4はサッカー回。1975年両親の出会いとアルジェリアチーム勝利の夜が交互に語られる。ファラの母が思いを寄せる若い写真家の青年が取り違える革命家はフランツ・ファノンとアミルカル・カブラル。母の肖像を今でも手放さない父が、少ない出番ながら印象に残る。


監督脚本主演はメルラ・べディアで、自身を50%投影した作品と語る。
アルジェリア系フランス人で父がカビリア、母はパリ出身。1990年パリ郊外生まれで私立カトリック学校で学びソルボンヌ大中退。一回り以上年上の兄Ramzy Bediaがいて、映画、テレビなどでコメディアンとして活躍していた。二人は親しかったのに学のある彼女がコメディに進むのにははじめ反対したそうだ。兄と親しかったラッパーのツアーに参加したきっかけでキャリアスタート。ちなみに30まで実家ぐらしなのはメルラではなくラムジーのほうだったようだ。

端役をこなしたあと2020年コメディ映画Forteで主演脚本。サッカー好きで溌剌だが自分の体にコンプレックスを抱いており、ポールダンスで女らしくなりたい女性を演じる。
サッカー好きなのは実生活においてもほんとで、16歳までミッドフィルダーとしてプレイしており、ジダンのポスターも部屋に貼ってるそうだ