デパルマ

ブラッシュアップライフのデパルマのレビュー・感想・評価

ブラッシュアップライフ(2023年製作のドラマ)
4.0
心にアラサー女性を飼っている脚本家ことバカリズムが「素敵な選TAXI」や「かもしれない女優たち」で描いた人生改変SFと「架空OL日記」的なアラサー女性の日常会話を組み合わせたのは勿論素晴らしいけど、そもそもパラレルワールドの概念を持ち出すことなく、いくつもの人生の中で自分に備わった様々な能力を駆使する「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」的なマルチバースものに仕立ててるのって世界初なのでは。まずもって主人公が地方住みの市役所で働く一般的なアラサー女性なのも、石原さとみやガッキー的なキラキラスター女優じゃなくてどちらかと言えば庶民的な安藤サクラ、木南晴夏、夏帆、黒木華、水川あさみという面子が集合するの最高すぎるし、どこにでもいそうな30代女性のシスターフットものとしてもだいぶ新鮮。普通に韓国ドラマでリメイクされそうな良さがある。恋人が既婚者だと知らされた黒木華や水川あさみが現実を受け入れられずに困惑したり、悲しみに暮れてウェットになる訳でもなく、「てめえ、不倫してんじゃねえかよ」などとめちゃくちゃ強くキレるの最高だった。一貫して不倫や痴漢(冤罪)を防ぐのも良すぎる。8話は水川あさみとの会話だけで構成されてるのも凄いし、何より時間を遡って友達や人々を救うのテネットみがあって泣ける。そして最終的に友達と生きる何の変哲もない1度目の人生を選ぶところは、まさにエブエブみがある。いやまじでバカリズムは今回の脚本で三谷幸喜、福田靖、遊川和彦、岡田惠和、坂元裕二、野木亜紀子クラスの国民脚本家の仲間入りしても良いんじゃないの。まじで30代のフェニミストの女性脚本家が書いたスタジオドラゴン作品かと思うよ。4人の空間の尊さよ。最高でした。
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