Asino

スマイリーのAsinoのレビュー・感想・評価

スマイリー(2022年製作のドラマ)
4.0
典型的ロマコメ展開の中でものすごく色々見せてくれてとても楽しかった。ビンジしました。

主人公ふたりの話としては、とてもわかりやすい「第一印象最悪」パターン。ちゃんとした関係を築ける相手を見つけたいと思ってるふたりが出会うけど、好みは正反対。最初は反発するけどどうしても忘れられなくて、行動範囲が近いから度々再会しちゃうけど、こっちから連絡を取るのは躊躇する。ほかの人とも付き合ってみるけど、やっぱり相手がどうしてるのかが気になってしかたない。

でもそれだけじゃない。
30分ちょいx8話の尺を使って細部が積み上げられていくし、友人のレズビアンカップルやヘテロ既婚カップル、そしてとうに亡くなっている父親のかつての「親友」だった男と母親とか、幅広い周囲の人達の描写がすごくバランスが取れていてすばらしい。
世代の違う人達のそれぞれの悩みが描かれているのもいいし、基本的な舞台がゲイバーだし、ものすごくゲイやレズビアンの人達への理解がある世界だけれど、それでもある家族へのカムアウト問題や、マッチングアプリとの付き合い方とか。


ここ数日でロマコメ映画の新作を立て続けに5本くらい見てたんだけど、それらよりダントツに面白かった。普段はドラマでだらだらやられるより映画で2時間にまとまってる方が好き、なんですけどね…。

続けて見たことで改めて、いわゆるロマコメ映画の肝っていかにいい感じに「すれ違い」を作り出して物語を展開させるか、ってとこに掛かってくるんだなと改めて思った。
列車が止まるとか、電話番号をなくすとか、相手に婚約者がいるとか、最初に大げんかしてしまうとか。

(そもそも私が見過ぎなんだけど)、見ている間つい類型化してしまう「慣れ」みたいなものが、このドラマではあんまり発動しなかった。
最初に書いた通り主人公ふたりだけじゃなくて、並行していくつもの人たちの話が展開していて、そのバランスがとてもうまくて感心したからかも。
あとそんな都合のいいことある?ってなりがちなとこと、「いやいやそんなうまくいかないよ」って突き放してくるとこのバランスが取れてておとぎ話になりすぎず、そこも好み。

舞台はバルセロナで、字幕では<>で区別されていたけどカタルーニャ語とスペイン語が入り混じっていて、実際はカタルーニャ語ってこんな感じで使われているんだな、ってちょっと感心した。
それもたぶん意図的になんだろうけど、ホリデーシーズンのカタルーニャの風習とかがいろいろ盛り込まれていて、それがとても興味深かったし。
イルミネーションがきれいなバルセロナの夜の風景とかも素敵で、わかってたはずの結末にもあーよかったねえ、って思って見終われる、いい話でした。
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