テーマとしては相当興味深い。トロッコ理論を何度も突きつけられ、どっちの選択をするにせよ必ず犠牲がつきまとうという当たり前の現実を、手を変え品を変え見せつけられる。どの選択も理解はできるが、共感出来かねるものも多い。
終始重苦しい展開で、笑いはおろかホッコリしたりスッキリしたりする場面も皆無。この空気感をブレることなく維持し続けたのはお見事と思う。ラストで少し明るさを見せたが、およそスッキリするものではなく、もっともっと救いのない重苦しくさで締めて欲しかったとも思うし、どこか中途半端で釈然としない。
議員がなぜあの法律にそこまで執着したのか？秘書はなぜあれほど議員に傾倒していたのか？そこが良くわからずモヤモヤ感が残った。
残念だったのは主演の女優。脳内お花畑でイライラするし、外見や口調から憔悴している感じが伝わらない。人間ホラーのような重さに耐えられる力量がなかったように思った。
観了後、決して良い気分になるようなものではないが、静かに観進められ色々考えるきっかけになるような不思議な作品。
