まぐらいだあ

瑠璃も玻璃も照らせば光るのまぐらいだあのネタバレレビュー・内容・結末

瑠璃も玻璃も照らせば光る(2022年製作のドラマ)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ドラマの後にシナリオを見てからの感想。

一番の改変箇所は父が最初から病気でないこと?
途中で病院に連れて後遺症を発症している。
最初から父が病気であることで、ドラマ的にさらに主人公が重いカセを背負わせることができるのはわかるが、
それを入れたことによって、主人公のひかるがそもそも照明を手伝うという点に無理が出てくる。
友人はひかるの家庭事情をわかっている様子で、まだ父親が病気でなく(だが家庭のことはあまりやっていない様子ではあるが)母がうつ病という設定においてなら、ひかるの学校生活においての余白が少しでもあると言う点で理解できるが、両親とも何かしらの病気で祖父母も家事を手伝いにくることなく(そもそも祖父母の描写もないのだが)1人で家のことを全てやらないといけないという責任感にとらわれている人物であるならば、たかがお遊びでやっている演劇部の照明をちょっとだけ青春を味わいたいという余白さえない状況のはずでは?
それに断れないような人物でもないし、後々展開において断っているし、かなり設定に無理が出てくるような気がした。

結局、改変箇所がドラマをつまらなくそして、凡作における展開になっていて、せっかくの元の描写が台無しになっているのが悲しい。
ヤングケアラーという点でも去年に書いた作品だとしても少し題材が古い気もする。

「頑張る」という言葉が劇中で何度も出てくる。

「大変だよ頑張ると。才能ないかもってイライラするし、自分より上手い人なんかいくらでもいるし」

それは作者含めたコンクーラーに対するメタ的なメッセージでもあり、
頑張らないのではなく、好きだから頑張ってしまう。頑張らなくて良いではなくて一緒に頑張るというメッセージは良かった。
ただ、流石にしつこいが。

そしてシナリオ上では劇中で何の劇をやるか中身は描写がなかった。
しかし映像ではシェイクスピア?
おいおい、流石にやる気のない演劇部っていう設定なのにシェイクスピアをやるっていう時点でおかしいだろ。
あってもネットやらその辺に転がっている台本の方が簡単だから。それか顧問が決めたから? だとしたら顧問が照明やったら?
と色々ツッコミどころが出てくる。

全体的に良い話ではあるものの、これが大賞作品だとしてみると、改変が雑な上に、どこに完成度と将来性を審査員たちは見据えたのかがわからなかった。

人物同士やりとりにもなんか唐突な対立が生まれたりと、あま話の中身に入り込める作品ではなかった。