さちの樹

王様戦隊キングオージャーのさちの樹のネタバレレビュー・内容・結末

王様戦隊キングオージャー(2023年製作のドラマ)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

"見たいものを見れた時と見れなかった時"

まず、一年間お疲れ様でした。
これまでにない映像、縦軸重視など挑戦の多い作品で、映像の強度として最後まで質が落ちることなく見れた。

第一話から俳優さんたちの演技の素晴らしさに驚き、上堀内監督の特に間を重視した演出が光り、スローを用いたアクションのカッコ良さに心踊った。
演出やアクションは一年間とにかくクオリティが高く、そこに流れる音楽にも酔いしれた。
実は二部構成であったという物語上の仕掛けも面白かった。
ここまで話題になるのも、戦隊に触れてこなかった新しい層を取り込めたというのもよく分かる。
しかし、ストーリーにおいては一年間ずっとノれたかというと自分はそうではなかった。もちろん胸を熱くし感動した回は幾つもある。
ただ物語上の展開を優先され、キャラクターの行動が疎かになっていたと感じる部分が幾つかあった。
展開は面白いし、1話1話は楽しめるけれども全体で見ると引っかかる部分があったりする。


第一部。
悪者になりきり反逆者となるギラの展開は非常に楽しめた。他国の王様たちのキャラクターも素晴らしい。それもあってか、ギラのキャラが弱く見えてしまったが。

個々にクセのあるキャラクター、思惑など、どう戦隊として纏まるのか、前作のドンブラとはまた違う楽しみ方があった。
そのため同時変身や、第10話のクライマックスは胸が熱くなる。
ギラとヤンマのシーンは好きなところが多く、特に17話のヤンマの拳をギラが受け止める演出には心踊った。

24話ではジェラミーの想いが見えてくる回だが、そこはもう少し早く聞きたかった。今まで彼は何を思ってバグナラクを倒してきたのか。


第二部。
自分が本作の中でも最も好きな回と言ってもいい29話の王様失格。
拍手はいらないと言ったジェラミーの演説をここで回収してくるかと。カミホリ監督の神演出、ヒルビルとのアクションも素晴らしい。
35話は国奪還に失敗するヤンマで、カタルシスを感じたくても感じれない回だった。
41、42話はラクレスの活躍あり、神回らしさを感じるも残る謎にモヤモヤ。
43話でそれはスッキリするが。

さて、44話からだが。
王の証や神の怒りなど描きたいことを優先しすぎて、キャラ同士の因縁など見たいところが見れなくなった。
ヤンマとヒルビル、ヒメノとグローディ、この因縁を中心に見たかった。
ヒメノに関してはもう復讐には囚われていないのだろうが、そこは行間を読み取らせるのではなくしっかりと描いて欲しかった。
命を与えることで結果神の怒りを起こしてしまったことにも説明があると良かった。

48話序盤は壮大な最終章を予感させる。
特にジェラミーによる星の話が好き。

最終話はあまり興奮できなかった。
無理に胸熱や感動に持って行こうとしているように感じた。

と、まあ好きなところあり、納得できないところあり。
そのギャップがすごかった。

でも一年間楽しませていただいたことは事実です。
さちの樹

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