ゆうゆ

ロリエ・ゴドローと、あの夜のことのゆうゆのレビュー・感想・評価

4.2

まるで長尺の映画を観ているようなドランのこれまでの集大成を思わせる 彼の世界観にどっぷり浸れる贅沢なドラマ劇。母の死をきっかけにばらばらだった兄弟たちが再び交差していくお話。
家族を翻弄し続けるロリエゴドローとの 発端となった "あの夜"の出来事。緊張感で張り詰めた重々しい空気、謎に満ちた確執が炙り出されるなか秘めた苦しみはまるで 自分の首を絞めるかのようにやるせなく入り交じり ゆっくりと紐解かれてゆく。
過去に掻き回され 荊棘に阻まれたように苦悩するそれぞれの人物描写、美しいものと晒したくない醜さが絶妙に融合し 痛々しいのに愛おしさに溢れた、ドラン節炸裂のサスペンス劇。
苦しみの解放と昇華、ラストはほのかに光が降り注いでるような未来を感じるやさしい後味でした

*
個人の入り組んだ造形はもちろんクラッシックな色彩美や劇伴、インテリアから小物 画角やカメラワークに至るまで こだわり抜かれた彼の美意識とセンスが余すことなく発揮され 消耗もするけどやっぱり惹き込まれます。過去作品のオマージュ的な遊び心のある描写(中身は辛辣だが)もたくさん♩¨̮
ドラン作品には欠かせない歪んだ"ママ愛"や神経質そうな深爪も健在♡
ゆうゆ

ゆうゆ