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麒麟がくるのtubameのレビュー・感想・評価

麒麟がくる(2020年製作のドラマ)
3.4
レビューがかなり遅くなったけど、放送時に完走済み。


既に散々描かれてきた明智光秀(十兵衛)が主役ということで、今回はどのような描かれ方になるのかを楽しみにしていた。
思慮深い・常識人のようなイメージからは結局離れなかったのは残念だが、将軍の元にいた時代の丹念な描写は新鮮に映った。
その他にも従来は小柄な設定の多かった秀吉の配役を大柄な佐々木蔵之介とし、生業も行商に変更するなど、登場人物については新しい試みが多くみられた。高貴な女性が立て膝を立てて座っていたり、着物の色合いも鮮やかなものにするなど、いずれも最新の研究を反映したものらしく、固定観念を打破しようとする姿勢は好感を持った。


本作はコロナ禍の影響を受け、撮影が中断したことも記憶に新しい。
戦国大河の華、合戦シーンは前半の斎藤道三親子の戦いが実質的に最初で最後となった。初期の明智の庄ではドローンを使った凝った撮影が行われていたりしたので、最初のプランでの合戦が行われなかったのは不運であった。
ただその分(という表現は適切ではないかもしれないが)、俳優たちの熱演が光るドラマになった。
特に染谷将太の信長は童の様な真っ直ぐさと底知れぬ狂気が混じったような造形で印象的だった。

ただ、ストーリー面では物足りなさも。
大河において、しばしば超パワーで歴史的事件に全て絡んでいく主人公が登場することをあまり良く思っていなかったけれど、本作は十兵衛が控えめな代わりにオリジナルキャラの駒や太夫が縦横無尽に動き回るご都合主義な展開が多く、それはそれで好ましく思えなかった。
駒や太夫が話言葉みたいな謎の喋り方をするのも最後までひっかかった。


それでも大変な時期に放送してくれたことに感謝している。
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