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お母さん、娘をやめていいですか?のharunomaのレビュー・感想・評価

2.7
まぁ、そうなるよね。斉藤由貴ならこれくらいは普通で、対峙する波瑠も、もともとしっかりした顔立ちだし、すっと見据える大きな瞳もあるし芯が強いのは明らかなので、ちょっとこのドラマではミスキャスト。
斉藤由貴がコテコテになっていきますので、後半面倒です。趣味で人形作ってたりメンヘラキャラはきまっています。
母娘のわけのわからない強い情念というのなら、映画の『三度目の殺人』の斉藤由貴と広瀬すずのほうがよかった(まぁこれは殺人というものも入ってくるけど)。
いつもは狂ってる側の柳楽優弥が普通人のキーパーとして演じてるのはよかった。普通に気の利くいい男としてもできるのが新鮮。
にしても『雪の断章』の斉藤由貴が、いまこうしてこのような母親役を演じているとふと思うだけで、なにやら楽しい。
ほとんど何もしゃべらない弱気で謎の父を、寺脇康文が演じているが、柳楽へ助言するときのギャグすれすれの発言と立ち去りに笑える。壇蜜は下手すぎる。
見せ場のシーンで、激情なヴァイオリンが流れたり、総じてベタな作りがNHKということなのか、よくわからないが、斉藤由貴ファンのオジさまがプロデューサーっぽい感じでした。ブラームスの子守歌とか白雪姫の逸話や林檎とか、わかりやすく面倒くさい。
ドラマとしてはダメです、低飛行。意味が通り一遍で深みもなく、脚本もキャラも演出もベタすぎでダレることも、ままある。波瑠の決断の理由もよくはわからなかった。ただ追い詰められ、終始惑う波瑠の表情を見るのは、後半なかなかおもしろかった。

全然別だが、モンスター的な女だと『美しい隣人』の仲間由紀恵のほうが、理知的に戦略計算あって恐い。斉藤由貴のこのキャラはメンヘラなだけの馬鹿に見えてしまうし、母親の方がこどもであり、娘が甘やかして面倒を見る感じ。アイドルの後年の倒錯としての少女、の位置付けが斉藤由貴に課せられたほぼすべてだろう。友達のような母親ではなく、少女としての母親。どうせやるなら、憧れる対象であり、高圧的でもあるようなキャラにならなかったのか、まったく娘への抑圧がたりない。サイコパスへはもちろんなりえない哀しさと中途半端が難しい。
波瑠は、夏目雅子(作品は観たことない)そっくりなので、超然と颯爽と生きる役で十分であり、こんなせせこましい関係のドラマをやる必要はない。斉藤由貴もそろそろ情緒不安定な女性ではなく、しっかり社会にいる女性の役が見たい。

「作ろう! 僕とチャーハン作ろう。焼き豚切って。とびきりの買ってきたから。きっと美味いよ。二人で作ったら…美味い!」の柳楽優弥がよかった。柳楽のナイストライが救い。
チャーハン食べながら、頭を撫でられる波留の顔を見て、少し泣きそうになった。美濃のくだりは、普通によかった。プラットフォームで手をつなぐ二人。絵に描いたように愚直だが。
ラストは一家離散感が半端なく、波瑠のトラウマがこれから心配になる。なんとも面倒なNHKのドラマであった、センスがたりない。
波瑠に免じてスコアは0.2うわのせ。
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