りっく

VIVANTのりっくのレビュー・感想・評価

VIVANT(2023年製作のドラマ)
3.4
福澤監督のフィルモグラフィーの中での位置づけ、TBS日曜9時の位置づけ、アフターコロナでのドラマ制作の位置づけ、地上波で週1話ずつ放送するというフォーマット上での位置づけ。そのような前提となる位置づけや背景をリアルタイムで理解しているからこそ本作は評価されているのであって、後世に語り継がれていくかというと甚だ疑問というのが正直なところ。

潤沢な予算による贅沢なキャストや海外ロケが見どころながらも、結局は表面的な豪華さで装飾されているものの、画で物語を進めていく映像的な演出は放棄され、ひたすら説明的な会話と回想の天丼によってキャラクターの真意が明かされることのみに注力されていく。

その結果思わず笑ってしまうほど杜撰なヘマやポカによって物語を転回していく雑さと、父親と息子や男同士の友情や愛情の熱さが混在し、ジャンルや言語を横断するという歪な作品だ。終盤に強調される個人と国家、日本のあるべき姿といった政治的なメッセージもかなりきな臭く危うい。
りっく

りっく