ソウキチ

キラー・ビーのソウキチのレビュー・感想・評価

キラー・ビー(2023年製作のドラマ)
-
暴走するトキシック・ファンダムについてのドラマかと思いきや、そう一筋縄にはいかない相当ヘビーなやつだった。

社会に居場所を見出せなかった人間にとって、アーティストへの過度な推し活≒崇拝は孤独を加速させ、攻撃性を増長させる。現代におけるアーティストとファンダムの危険な関係性はカルトのそれと本質的には変わらないということをこれでもかと露悪的に描く。しかしながら相変わらず画面はバキバキにシャレているのが最高。

ドレのマリッサへの依存は『アトランタ』のアーンとペーパーボーイとの関係性も思わせるが、冒頭で「この物語はフィクションではない」と宣言するこのドラマにおいて、『アトランタ』のように毒気をコメディとして中和させるゆとりはなく、まさに蜂の針のようにひたすらに猛毒。E6のモキュメンタリー形式のナラティブは象徴的だった。

30分枠のシリーズではあるがビンジするには胃がもたれる感があったので、2時間の映画にした方がよかったんじゃないかと思ったかもしれない。

何より主演のドミニク・フィッシュバックの怪演が凄まじい。自分は映画やドラマのサイコパス殺人鬼を見ても大抵のものは怖いと思えないタチなんだけど、久々に心底震えあがるような演技を見せてもらった。あとラストのディープフェイクっぽい演出も不気味すぎた。マジで怖かった。
ソウキチ

ソウキチ