【第75回エミー賞 リミテッド・シリーズ部門作品賞】
A24製作×Netflix配信のリミテッド・シリーズ。ゴールデングローブ賞で作品賞を受賞、エミー賞でも作品賞など主要5部門を独占した。全10話中3話を『37セカンズ』のHIKARIが監督している。
あおり運転から二人のアジア系男女がとんでもない事態へ向かっていく。エミー賞を独占、話題沸騰した作品ということで今更ながら完走。かなりエグい展開がずっと続き途中離脱したが最後まで観たら面白かった。
マッドマックスじゃないけど「怒りのデス・ロード」という感じ。怒りがさらなる怒りを呼んで暴走していく。かたや裕福な中国系女性、かたや貧乏な韓国系男性。さらに中国系女性の夫は日系。まさしく多様性時代の象徴とも言えるドラマになっている。
大便小便、吐くわ血は出るわと何でもあり。えげつない描写が続く。終盤は勢いが下降してしまったように感じるが、絶賛されるのも分かるジェットコースター的怒濤の展開に呑まれる。
アンガー・マネージメントってほんとに重要だな。自分も怒りをコントロールできないときがあるので身につまされる。ダニーやエイミーほどじゃないけど。流石にあんなことはしない。
かなり極端なキャラクター描写に思えるが、寓話としてみるのがいい。コントロールできない怒りが暴走していくとこうなる。結局は「一人になりたくない」という感情が全て。分かる。
かなり救いのない話ではあるが、最後はなぜか愛を哲学的に考えるような境地まで至ってしまう。
このスピード感とアーティスティックな感性、さすがA24とNetflixがタッグを組んだだけある。アリ・ウォンやスティーヴン・ユアンの演技も凄まじい。汚物まみれになりながらの最終話に役者の本気を感じた。
注目の日本人監督HIKARIさんも上手く中盤の展開をみせている。他の話と馴染んだストーリーテリングをみせている。
エミー賞独占も納得の凄まじい熱量のドラマだった。A24のドラマ最新作『ザ・カース』も絶賛されているが、そちらも早くみないと。みていてなかなか辛くなる作品だが、現代社会の寓話としてよく出来たドラマだった。