現実世界では人を殺して豚の餌にしたりしている彼ら。それは今、イタリアで最も勢いのある犯罪組織ンドランゲタだ。衰退したシチリア起源のコーサノストラや、ナポリのゴミ不法投棄などで社会問題になったカモッラをも凌ぐ勢いであるという。その性質は実に閉鎖的で冷酷かつ凶悪。本作に描かれているような一見美しいカラブリアの田舎風景のその裏で、実に悍ましい犯罪が日常的に横たわっていることを想像すると恐ろしい。特に組織の男どもの女に対する扱いや現実的な怖さ（厭らしさ）が見ていて非常に辛い。そんな組織に束縛される女性たちの闘いを静かに重いタッチで描く本作は『ゴモラ』『堕ちた天使』などと同様に現代イタリアの犯罪事情を知るうえで欠かせない必見作だ。
