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ジャンゴ ザ・シリーズのHKのレビュー・感想・評価

ジャンゴ ザ・シリーズ(2023年製作のドラマ)
3.0
マカロニ・ウェスタンの名作『続・荒野の用心棒』(原題:Django)が原案の新感覚西部劇ドラマ・シリーズと触れ込みの本作、6月から毎週録画して盆休みに全10話を一気観。
私は『続・荒野の~』は好きですがタランティーノの『ジャンゴ 繋がれざる者』は大嫌いなので期待半分といったところ。

マカロニ・オマージュのため(?)イタリア・フランスの合作。
今回ジャンゴを演じるマティアス・スーナールツ(『ムスタング』)はフランス人、ジャンゴの娘を演じる剛力彩芽に似たリサ・ヴィカリはドイツ人、悪役のノオミ・ラパス(一番カッコイイ!)はスウェーデン人、カメオ出演の神父役フランコ・ネロはイタリア人と非アメリカ製を徹底。

正直言ってたいして面白くありませんでした。
まず、この話『ジャンゴ』である必要はあったんでしょうか。
冒頭で武器の入った棺桶を引きずったり、終盤で主人公がガトリング銃を乱射するシーンはありますが、そこだけのような・・・
『続・荒野の~』の精神を、さらに進んだかたちで新解釈とありましたが・・・え?

人種、ジェンダー、LGBTQ等さまざまな現代的なテーマを盛り込んだ(これがさらに進んだ新解釈?)とありますが、盛り込み過ぎでは?
私にはそれらが効果的に作用しているとは思えないし、そのせいでダラダラと10話もの長尺になったのなら、余計な要素は省いてもっとシンプルにした方が良かったのでは?

もともと、複雑化しすぎて理屈っぽくなり本来の面白さを失くしてしまったハリウッド西部劇に対して、シンプルな娯楽に徹して人気を博したのがイタリア製のマカロニ・ウェスタン(正式にはスパゲティ・ウェスタン)だったはずなのに、なんだか本末転倒では?

私は西部劇大好きなので新作は大歓迎だし、新たなアプローチも必要だと思うし、今回の試みも全面否定するつもりはありませんが、ちょっと成功例とは言い難いかと。
派手な撃ち合いが少ないことより、むしろ逆でドラマが弱いことが問題(次回どうなるのかとワクワクしない)であり、感情に訴えかけてくるものが希薄でした。

宣伝文句にやたら“西部劇なのに”とあたかも西部劇は面白くないのが前提のような書き方をしているのもなんだか気に入りませんね。
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